かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

竹中平蔵さんの話

2014年04月10日 | Topics

pencilset今日は、竹中平蔵さんの話を聞いてきた。2回目だが、前回は、大臣の時だったので、大本営的な内容だったが、今回は、自由なお立場で、話し方も生き生き。
やっぱり、政治家なんかやるもんじゃない?

お題は、”日本の成長戦略に何が必要なのか”だったが、基本的には、アベノミクスの今までの評価と、これからの見通しというところか。
政治家ではなくなったが、政策検討には、深く絡んでおられるので、かなり具体的な話が多く聞けた。

アベノミクスは、3本の矢からなっている。①デフレ克服と金融緩和、②機動的な財政政策、③成長戦略だ。
エールの浜田氏によると、その評価は、ABE。つまり”安倍”ということらしいが、①、②は需要に対する戦略で、③は、供給に対する戦略なので、同列に論じるのは、フェアではない。

①の金融緩和については、成功しているという評価。物価上昇目標2%にはとどいていないが、マイナスから、プラスにした効果は大きく、需給GAPが小さくなってきている。以前触れた、デフレの原因が、人口減にあると断じる説があったが、人口減で、デフレになっていた国は、日本だけで、その考えには、反対のお立場。

②の財政政策については、財政拡大と財政再建の、2つのステージに分けられるが、財政拡大のステージは、今のところ成功している。後半の財政再建については、これから。消費税が引き上げられているが、焼け石に水であることは明らか。財政赤字が拡大している理由の95%は、社会保障費の増大にあり、この拡大を抑えない限り、財政再建は不可能だが、国民に痛みを強いることになり、安倍政権がそこまで踏み込めるかは、まだわからない。

③成長戦略については、時間がかかるが、毎年1.5%の成長率の差でも60年経てば2倍の差になる。長期的に経済成長が持続する施策が必要である。そのための方策に、打出の小槌はなく、規制緩和と法人減税しかない。
特に、規制緩和だが、世界銀行によると、日本は、2000年は、40位だったが、2006年に、小泉改革で、28位に上昇。ところが、その後47位に低下したという。

今までの既得権益を崩せていない。岩盤規制に守られた業界が、まだ多く存在する。
例えば、株式会社が農地を所有できないから、農業改革も進まない。医学部が増やせないから(35年間医学部新設はゼロ!)、地方に医師がいない。

これらの岩盤規制を打破するために考えられているのが、国家戦略特区。新潟、藪(兵庫)、福岡などが候補になっているそうだ。ちなみに藪というところは、かつて名医が多く、多くが、”藪の医者”を名乗り、その中に偽者も混ざっていたため、逆に、悪い医者の代名詞になったという。
農地解放を唱え、多くの企業が、進出を検討しているという。
特区の意義は、特区大臣と、首長が、官庁の規制を超えてすべてを決めることができることにある。
岩盤規制の突破口とするもので、これがうまくできるかが第三の矢が成功するかの鍵になる。その正念場が、今回の国会終了後の、今年、夏から秋にかけてだという。
規制緩和により、農業、医療、教育など、競争力に劣る業界を復活させることができる。

もう一つのアイデアがコンセッション。官業の民間解放で、例えば、空港運営や水道事業を、民間に任せることを言う。これにより、財政再建、サービス向上が図れる。

これらの成長戦略を考える時、2020年のオリンピックは大きな要素だ。1964年の東京オリンピックの時も、日本は、変わった。新幹線、ホテル、モノレール、冷凍食品(+セントラルキッチン)、警備保障事業、等等。
オリンピックが行われると、貿易が3割増になるという研究がある。これは、世界中の人が訪れえるため、規制緩和が進むことが理由と考えられる。現在の成田、羽田からの国際便は、88路線だが、他の国に比べると、極端に少ない。
2020年のオリンピックをきっかけに、大きく日本を変えられるチャンスが到来している。

中期的な成長の鍵は、イノベーションとグローバリゼーションとまとまられた。

という内容で、ひじょうにポジティブながらも、アベノミクスの正念場はこれからという内容だった。
小泉改革のプラス面を強調しすぎるきらいはあるものの、十分説得力のある内容だったと思う。

コメント
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