沢木さんのキャパシリーズにははまった。
深夜特急依頼のファンだが、キャパの写真が撮影された場所を検証する雑誌のシリーズは、面白かった。雑誌社と、沢木さんの情熱のコラボがなければ、成立しなかった企画だろう。
そこから、横浜で開催された、キャパの写真展にも言ったし、キャパの最高傑作と言われる写真のNHKの検証番組+本でも、楽しませてもらった。
そして、本書は、その雑誌のシリースを、キャパの人生に沿って再構成した一冊。これまた、ひじょうにいい。
キャパの魅力的だが、必ずしも、優等生ではない(放蕩?)一生が、このような形で、再構成されると、浮かび上がってくる。
特に、キャパは、地雷を踏んで亡くなるのだが、その前にあったたくさんのIF。もしそのIFの内、一つでも欠けていたら、キャパは、ベトナムで亡くなることはなかったし、以降、戦場カメラマンとしての、チャンスはなかったかもしれない。
イングリッドバーグマンとのこと、その撮影中のヒッチコックの写真も興味深い。
時代を感じさせる。
東京駅のホームでの写真は、まさに松本清張の点と線に出てくるホームで、今は、新幹線のホームに変わってしまっているが、その手前のホームで、いいアングルの写真が撮れている。
キャパの追っかけ本とも言えるかもしれないが、追走と追想と、掛詞なっているところもいい。
男のロマンを感じさせる一冊。