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関さんの多作振りには驚かされるが、新史論も順調に第四巻が発刊された。
お題は、天智と天武。
と言っても、時代は、乙巳の変から持統天皇の世までをカバー。
第一巻から二巻あたりの、ええっ?という記述はなくなったものの、関さんの独特の視点で、この時代を読み解く。
とは言え、蘇我氏と藤原氏と天皇家という関係からこの時代の流れを整理すると、この本のような見解になるのかなという感じもあり、あまり異端の考えとも言えないように思う。
特に、天智天皇については、他の史家にも、その、功績に疑問を投げかけている人も多いし、天武から持統への流れも、天武の流れから、また天智の流れに戻ってしまったということであるから、ここで、流れがくるくる変わっていることは、何となくわかる。
特に、日本史は、藤原氏による蘇我氏を貶めるための史書であるという基本的な考え方があるから、天智天皇などけちょんけちょんになる。
ただ、確かに、朝鮮出兵にしても、その後の、巨大な土木工事の連続にしても、民にとっては、迷惑千万であったろう。
乙巳の変のもう一人の首謀者である中臣鎌足は、渡来人そのものであったとの見解であるから、史書にはその出自がぼやかされている。
そして、藤原不比等が実権を握っていく。
伊勢神宮と他の聖地の位置関係の分析など、ほぉっと思う部分もあり、楽しく古代史を探索したい向きには、うってつけの本。