本書は、本屋で見つけた。
鏡の本は、結構読んで来たが、近時の議論も踏まえた集大成的な本ではないかというのが読後感だ。
時代毎に、銅鏡の種類、扱われ方、生産地、分布の状況、その他の副葬品の状況の変化を積み上げ、弥生時代から、古墳時代に変わるところで、全てが大きく変わったことを導き出す。
しかし、古墳時代になって以降、全てが、整然と整理された訳でもなく、巨大古墳が作られる時代になると、鏡の存在は、フェイドアウトしていく。
いろいろ新たなことを学んだが、弥生時代は、破鏡と言って、砕かれた鏡が、配られたり、お墓に納められたりしていたこと。それが、古墳時代になり、完成鏡が主流になったこと。
制作地も、中国中心であったり、韓国中心であったり、日本中心であったり、時代毎に移っていった痕跡が見られることなどなど。
銅鏡のデザインそのものも、その芸術性が、高く、また幾何学模様は、かなりの知識がないと、描くのが難しかったことなども、興味深かったし、次に銅鏡を見る機会があったら、より注意して見たい。
鏡面も、フラットばかり思っていたが(ほとんど見ないが)、凸面や、凹面が主流だった時代もあること。
このような研究を重ねることにより、中国、韓国、日本との関係、大和朝廷、または時代時代の豪族達の権力の及んだ様子も見えてくる。
古代史ファンには、必須の1冊に思える。
著者は、1973年生まれの気鋭の学者である。