
鈴木大拙さんは、金沢の出身で、記念館にも行った。
すごい人との認識はあったが、書は読んだことがなかった。
そしたら、本書が本屋にあった。
戦後すぐ出た本を、その後の復刻版での解釈も加味し、初めて文庫化したものらしい。
冒頭に、鈴木さんが、英訳が気に入らなかったとのコメントがあり、結構難しいのかなと思ったら、めちゃくちゃ難しかった。
まず、これを、英訳するのは無理だろう。
西欧の思考法と、鈴木さんの説く仏教の思考法は、対立するというよりも、別世界のものだ。
日本人だが、西欧文化につかっている我々世代からも、理解が難しい。
今の僧侶ですら、本書を読んで、すぐ腹落ちする僧侶がどれだけいるのか。
それほど、哲学的で、論理的なのか霊的なのか、わからない。
鈴木さんは、ブッダの悟りをこの世にいる人々と共有しようとしたのだと思うのだが、この境地に至るには、何年も修行しないと無理だろう。
それだけ、普通に生きる人は、さまざまなしがらみの中で生きている。
本書をふむふむと読める人の話を、一度聞いてみたい。
対立するとかではなく、わからないのだ。
仏教に興味のある方、一度読んでいただいて、感想を聞かせて欲しい。