みなさん、こんにちは。
稼プロ!19期の森です。
先日、娘の七五三のため、実家の島根に行ってまいりました。
以前にもどこかで(コメントで)で書いたと思いますが、実家は出雲大社のすぐ近くで、七五三のお参り(ご祈祷)も出雲大社でお願いしました。両親の挙式も、自分の七五三も同じところでやっている(おそらく祖父以前も)と思うと少し感慨深いものがあります。
ちなみに、島根というか山陰地方では七五三のことを「紐おとし」と言います。由来は、昔の子どもが着物の付け紐をとり,はじめて帯を結ぶ儀式からだそうです。
出雲大社は参られた方も結構いらっしゃると思いますが、私の周辺では特に女性は高い割合で女子旅を経験しているようでした。
毎年、縁結び大祭が神在月(ご存知とは思いますが、この地方では神無月ではなく、神様が集まるので神在月と言います。)に行われ、今年も11月11日に行われて盛況だったようです。
神社と言えば参道、参道に並ぶお店を覗いたり、食べ歩きしたりするのも楽しみだと思います。私の記憶の中の参道(神門通りと言います。)は、神社自体のネームバリューに対し、伊勢神宮は当たり前ですが、大宮の氷川神社などとも比較にならないほど「ショボ」く、寂れた印象を持っていました。
ところが2013年の“平成の大遷宮”を契機に、県が景観刷新を図る整備計画を策定し、2016年までの数年間をかけて整備されました。計画にあたってのデザインは公募ですが、周辺住民参加のワークショップなども行われアイデアが取り入れているそう。このとき、公募のデザインに関わったのは、同じく島根県津和野の「本町・祇園丁通り」の整備事業と同じチームとのこと。いずれも土木学会デザイン賞・最優秀賞に選ばれているそうです。
これによって、ガラリと印象は変わり、おしゃれではありますが、出雲大社の格式も損なわない、どなたにもおすすめできる素晴らしい街並みになったと思います。
さて、もう一つ最近うれしいニュースが。実は実家はぶどう農家の三代目(父はサラリーマンから退職後)なのですが、近くの島根ワイナリーのワインが日本ワインコンクールで、「甲州部門 最高金賞&コストパフォーマンス賞」を受賞しました(ちなみにうちでは甲州種は作っていません)。これは、山梨県のワイナリー以外で初とのこと。一切お酒に興味のない私には価値がわかりませんが、お酒好きの方が多い稼プロ!の皆様なら多少おわかりになる方もいらっしゃるかもしれません。
まだまだ名立たる観光地に比べると観光客で大賑わいということはないですが、こうして故郷が盛り上がっていることは嬉しいものです。
さて出雲を故郷と言っていますが、実際幼少期を過ごしたのは同じ島根でも県庁所在地の松江市です。中海と宍道湖に挟まれ、松江城に巡らされた内堀・外堀と相俟って「水の都」と言われています(少なくとも自称しています)。松江城は数少ない現存する天守閣があり、2015年にお城としては5つ目の国宝に指定されました。
今回、数年ぶりに松江城周辺も歩いてみました。改めて気づかされたのは、“和菓子”の美しさです。よく観光地ではそれぞれお土産ものとして和菓子もありますが、どこかで見たような印象を受ける場合が多いです。でも松江のお菓子はそれらとはちょっと違うものを感じます。実は奥さんが茶道をしているので、そんなことを言うと、松江は京都と金沢と並んで日本三大菓子処、お茶が盛んな街なんだとか。「そんなことも知らないのか」、と言われました。
最後に、松江に来られたら絶対におすすめしたいもの。「松江城の堀川めぐり」です。記憶の限り初めて乗りました。とにかく景観が素晴らしい。石垣はもちろん、数多くある個性的な橋、両岸の様々な樹木、水鳥、武家屋敷など見所満載です。遊覧時間も50分と長く、冬はこたつも用意されています。
以上、稼プロ!のブログというより観光ブログみたいになってしまいましたが、興味を持たれた方はぜひ島根においでください。
だんだん
19期生の堀川です。
前回ブログの続きです。
11月8日(金)~11月10日(日)の3日間にかけて行われたリノベーションスクール。
今まで63の都市で開催され、卒業生は4800人いるそうです。その内容は「リノベーションスクール@青森は、県内外から集まった受講生が、8人程度のユニットに分かれ、青森市に実在する遊休不動産を題材として、全国で多様な活動をしている講師陣とともに、企画、デザイン、プレゼンテーション、事業収支の計算方法などのスキルを学びながら、実現可能な事業計画を作成します。(イベント公式ページより)」
今回は、最終日に八甲田丸(青森駅近くに停泊している元・青函連絡船)で公開プレゼンが行われました。
物件は、3つとも青森駅前地区のさびれた商店街にあり、すべてビルの1階。最近は市役所や商工会議所が移転してきて、マンションも建ち、人通りが回復しつつあります。「のっけ丼」で有名な青森魚菜センターが近くにあり、そこにはインバウンド客も来ます。
リノベーションの計画だけを策定するのかと思ったら、改装、出資、事業の運営までメンバーで手掛けるそうで驚きました。
ポイントは、その物件だけでなく、半径200メートル、歩いて5分くらいのスモールエリアを一体として計画を考えること。続いていくことが大事。それを踏まえた8分のた公開プレゼン。
物件Aのコンセプト…「みんなの台所」
事業内容…青森産食材を使用した「十字路バル」の運営。隣の八百屋さんや近くの市場の商品を進んで消費し、商取引とコミュニケーションを作る。昼から酒場、食べきりBar、まちなかコンシェルジュの配置、イベント開催など。
事業費…800万円(調達:自己資金300万円、金融借入500万円)
資金使途…改装費300万円、衛生設備150万円。厨房設備150万円、運転資金200万円
事業収支…年間1400万円。オーナーから家賃3万円で賃借し、このユニットメンバーで運営する。
強み…メンバーの中にスペインの二つ星レストランで修業したシェフがいて、料理のプランニングをする。
物件Bは、2階に昔からのバーがあります。1階が元呉服屋で、そこをリノベ。
コンセプト…「コーヒーを通じてつながるもっと自由な空間」
事業内容…キッチンカーによる飲食物の販売、スペース&キッチンカーのレンタル、ワークショップの企画運営。
事業費…260万円と少額。調達は自己資金50万円、クラウドファンディング100万円、借入110万円。
内訳…キッチンカー30万円(中古の軽トラを購入し、キッチンブースはユニットマスターからもらう)、格子窓80万円、内装80万円(地元有志でリノベーションワークショップ)、お手洗い70万円。
事業収支…月商55万円、経費293千円。家賃は日割で1,600円(オーナーと交渉する)。
特徴…厨房設備ではなくキッチンカーを採用し投資額を圧縮。近くのコーヒーショップ経営者がメンバーの中にいる。同じ豆をいろいろな店で焙煎し味の違いを楽しむイベントなどを企画。
物件Cは、映画館の入ったビルの1階。2階は診療所、3階が映画館、4階は事務所。
コンセプト…「夜店通りブロードウェイ化プログラム」。体験型エンターテイメントとして映画を体験する空間へ。
事業内容…青森の魅力を生かした新しいショービジネス。レッスンスタジオ、映画関連物販・飲食。
事業費…調達3300万円(自己資金1000万円、借入2300万円)
特徴…ユニットメンバーがダンススタジオ経営者。生徒数400名。中学校でダンスが必須科目となってから生徒は増加傾向。診療所の営業時間外や休診日にダンススクール。インバウンド客が体験できるダンスプログラムを提供。
プレゼンターはみんな話すことに不慣れだそうですが、熱意が伝わり時間があっというまでした。
自分ではとてもアイデアが浮かばないと思ったからこそ、どんなプランが出てくるのかと楽しみに参加したイベントです。
住んでいる人たちが日常的に参加し継続していけそうなプランばかりで、さびれた駅前にも人が戻ってくるのかなと青森の未来に期待が持てるいいイベントでした。
こんにちは。事務局の木村です。
このブログ以外でも宣伝をさせていただきましたが、共著で執筆した以下の本がようやく発売となりました。ようやくというのは、もともと昨年に執筆は大幅終わっていたのですが、その後、平成から令和へと変わったことなどの影響もあり発売が先送りになっていたためです。
『合同会社設立・登記・運営がまるごとわかる本』
https://www.horei.co.jp/iec/products/view/1946.html
(ありがたいことに11/20 01:00時点では、Amazonの売れ筋ランキング 経営管理分野で5位でした。 )
こちらの本は、診断士20名超が参加し、税理士、司法書士、社労士の方に監修をいただきました(皆さん、Wライセンスで診断士も有しています)。ストーリーを交えながら、経験のない人でもなるべくわかりやすく合同会社設立の手続きを理解できるというのをコンセプトに作られています。
雑誌、Web等で執筆をしたことは何回かあったのですが、書籍の執筆をするのは今回がはじめてでした。はじめてを一人ではなく、多くの仲間と一緒にできたことはとても心強いことだったと思います。
パートを分けての執筆だったので、一人ひとりの負担はそれほど大きいものではありません。それでもやはり、間違いのないよう調査を十分に行い、わかりやすい記述を意識することには多くの時間を割きました。一人で一冊の本を書き上げることは非常に大変なことだろうと推測でき、私にはまだまだ難しいかもしれないなとも感じています。
一方で、メンバーが多いことでの苦労というのも感じています。それぞれ本業のある中で、なかなかスケジュールを合わせられないこともありました。全員の記述を一定のレベルに揃えるために校正にも多くの時間を割きました。それでも、執筆者それぞれのクセが出てしまい、統一するために編集の方にも多くの苦労をかけています。これらは、一人で執筆する際にはない苦労でしょう。
19期生の皆様も、執筆企画に応募されている方がいると聞いています。企画が実現すれば、それぞれ忙しい中で時間を捻出して取り組んでいただくことになります。共同で執筆することの大変さはあるかもしれませんが、困難を乗り越えた先には、自分自身の成長と困難をともに乗り越えた仲間との強い絆が得られると思います。大変でしょうが、ぜひ実現してほしいですね。
みなさん、こんにちは。19期生の福嶋です。
会社法改正案が衆議院本会議で審議入りしたとのニュースが報じられました。
「会社法改正案が衆院で審議入り ガバナンス強化急ぐ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52082030S9A111C1PP8000/
自社の経営や支援先の経営にどのような影響が生じるのか気になる方もいらっしゃるかと思います。
私は、弁護士をしていることもあり、改正の経緯をフォローしてはいましたが、このタイミングで、自身の頭の整理もかねて、会社法改正の内容をざっくり再確認しつつ、中小企業への影響との観点からの若干のコメントを記載したいと思います。
長めの記事となりましたので、以下の目次を活用して、気になるところだけでもざっと目をとおしていただければと思います。
目次 1 法律案提出の理由 2 概要とコメント (1) 株主総会資料の電子提供制度の創設 (2) 株主提案権 (3) 取締役の報酬等 ア 取締役の報酬等の決定方針 イ 金銭でない報酬等に係る株主総会の決議による定め (4) 補償契約 (5) 役員等のために締結される保険契約 (6) 業務執行の社外取締役への委託 (7) 社外取締役の設置義務 (8) 社債の管理 (9) 株式交付 (10) 責任追及等の訴えに係る訴訟における和解 (11) 議決権行使書面の閲覧等 (12) 会社の登記に関する見直し (13) 取締役等の欠格条項の削除及びこれに伴う規律の整備
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1 法律案提出の理由
今回の会社法改正案の提出理由は、株主総会の運営及び取締役の職務執行の一層の適正化等を図ることを目的とした、各種の制度や規律の導入です。
「会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るため、株主総会資料の電子提供制度の創設、株主提案権の濫用的な行使を制限するための規定の整備、取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備、監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」(「会社法の一部を改正する法律案」の「理由」より引用)
2 概要とコメント
(1) 株主総会資料の電子提供制度の創設
現行法では原則として書面(紙)での提供が必要な株主総会の招集手続に関する書類を、あらかじめ定款で定めることによって、電子的な方法で提供することが可能となる制度が創設されました。
株主と経営者が同一(所有と経営が未分離)であったり、経営者の家族や知人といった人的な関係の強い少数特定の株主構成であったりといった場合は、そもそも株主総会招集手続を省略したり、株主総会の開催自体を省略(書面決議)したりといった方法で対応していることも多いかと思います。
株主総会資料の電子提供制度の創設については、中小企業にはそれほど影響がない(メリットがない)改正かと思います。
株主がたくさんいる上場会社などの総会招集手続の効率化のための改正といえるでしょう。
(2) 株主提案権
これまで特段制限のなかった株主総会で株主の議案の提案数が10までに制限されました(取締役会設置会社のみ)。
また、専ら人の名誉を侵害等し、または自己もしくは第三者の不正な利益を図る目的での議案の提案および株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる議案の提案を制限することが明記されました。
そもそも、所有と経営が未分離な中小企業であれば、10を超える議案の提案が制限されても株主にも会社側にも特段問題はないものと思います。目的等による議案の提案の制限については、内容自体は当たり前のことを明確化しただけで異論はないかと思いますが、強いて言えば、(親族間の)経営権争いが生じた会社などにおいて、(経営の後継候補の)株主の正当な提案を会社側(現経営者)が却下するために利用されないかとの心配がなくはないかと思います。
(3) 取締役の報酬等
ア 取締役の報酬等の決定方針
総額を株主総会で定めて取締役の個人別の報酬等については、取締役会や代表取締役に一任とされることが多かったですが、一定の株式会社について、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針まで株主総会で定めることが義務付けられました。
この規定が適用される一定の会社は、①監査役会設置会社(譲渡制限を付していない株式を発行している会社であり、かつ、大会社であるものに限られる。)であって、金商法によって有価証券報告書の提出義務を負っているものか、または、②監査等委員会設置会社に限られるので、中小企業に適用されることはほぼないと考えてよいかと思います。
イ 金銭でない報酬等に係る株主総会の決議による定め
金銭でない報酬等にかかる(定款で定めていないときの)株主総会の決議事項として、報酬等のうち当該株式会社の募集株式/募集新株予約権については、当該募集株式/募集新株予約権の数の上限などが規定されました。また、取締役が引き受ける当該株式会社の募集株式/募集新株予約権と引換えにする払込みに充てるための金銭についても、当該株式会社の募集株式/募集新株予約権の数の上限などを決議することが必要になります。
中小企業においても、報酬として自社の株式/新株予約権を報酬とすることはあると思いますので、その場合は、法定の事項の決議が漏れないように注意する必要がありそうです。
(4) 補償契約
株式会社が、役員等に対して、①当該役員等が、その職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、または責任の追及にかかる請求を受けたことに対処するために支出する費用、または②当該役員等が、その職務の執行に関し、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合における、(ⅰ)当該損害を当該役員等が賠償することにより生ずる損失、もしくは(ⅱ)当該損害の賠償に関する紛争について当事者間に和解が成立したときは、当該役員等が当該和解に基づく金銭を支払うことにより生ずる損失、の全部または一部を当該株式会社が補償することを約する契約(補償契約)についての規定が新設され、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)での内容の決定、補償契約があっても補償されない場合、補償がなされた場合の事後報告などが規定されました。
会社(株主)と取締役との間で利益が相反しうる補償契約について、その内容や手続的な事項を定めるものです。中小企業においても、役員等に抜擢したい社員や外部の人材がその責任の重さから二の足を踏む場合に、事前に補償契約を締結することで、その法的な責任と心理的な負担を軽減して、役員等への就任を促すような使い方ができそうです。
(5) 役員等のために締結される保険契約
株式会社が、保険者との間で、①役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと、または②当該責任の追及にかかる請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が塡補すること、を約する保険契約であって、役員等を被保険者とするもの(法務省令で定めるものを除く。「D&O保険」)についての規定が新設され、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)で内容を決定することなどが規定されました。
こちらも会社(株主)と取締役との間で利益が相反しうるD&O保険について、手続的な事項を定めるものです。補償契約と同様、中小企業においても、利用できそうです。
(6) 業務執行の社外取締役への委託
株式会社が社外取締役を置いている場合で、当該株式会社(株主)と取締役との利益相反状況があるときに、当該株式会社が、社外取締役に対して、その都度、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、当該株式会社の業務を執行することを委託することができることを明記し、併せて、当該業務執行によって、社外取締役の欠格事由とならないことも確認する規定が新設されました。
現行法では、株主総会への事前の説明と承諾が必要な利益相反行為(会社法356条1項2号および3号)に限らず、マネジメント・バイ・アウト等、会社と業務執行者との利益相反が問題となる場合に、社外取締役に委任して実施できることになるので、社外取締役を設置している中小企業においても利用できそうです。
(7) 社外取締役の設置義務
監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金商引法によりその発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならない株式会社は、社外取締役を置くことが義務付けられました。
中小企業ですと、上記に該当することはないかと思います。
(8) 社債の管理
社債管理者を設置しないでよい場合に、第三者である社債管理補助者を設置して、破産債権としての届出をなす権限や、会社と社債管理補助者との委託契約の範囲内での社債にかかる債権の弁済を受ける権限を与えて、社債の管理が円滑に行われるように補助する制度が新設されました。
また、社債権者集会の決議の省略(書面決議)の規定が新設されました。
中小企業ですと、社債を発行することはあまりないかと思いますので、影響はないでしょう。
(9) 株式交付
株式会社(A社)が、他の株式会社(B社)をその子会社とするために、当該他の株式会社(B社)の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社(A社)の株式を交付するという株式交付制度が新設されました。
株式交付は、(現金ではなく)自社株を対価とする企業買収の手法となります。株価の算定など難しいところもありますが、キャッシュに余裕がない中小企業間での企業買収(事業承継)でも利用できそうです。
(10) 責任追及等の訴えに係る訴訟における和解
株式会社等が、当該株式会社等の取締役、執行役及び清算人ならびにこれらの者であった者の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解をするのに同意を取得することが必要な者を定める規定が新設されました。監査役設置会社については、監査役(複数いる場合は各監査役)の同意が必要になります。
中小企業においても、株主の要請などによって、会社がその取締役等を訴えた場合で、最終的に和解で終了させることはありえるかと思います。その場合、監査役が複数いる場合は、全員の同意を得るのを忘れないようにする必要があります。
(11) 議決権行使書面の閲覧等
株主が、議決権の行使書面の閲覧等を請求する場合に、この請求の理由を明らかにすることが求められるようになりました。また、当該請求を拒否できる事由が新たに定められました。
不当な目的での議決権行使書面の閲覧等を制限するための規定ですので、基本的には問題がないものと思います。中小企業においては、会社と株主間に対立がある局面で、議決権行使書面の閲覧等が求められた場合に、新設された拒否事由を理由に会社側が不当にその閲覧等を拒むことがないかとの懸念はあるかと思います。
(12) 会社の登記に関する見直し
新株予約権に関する登記事項が変更され、また、会社の支店の所在地における登記は廃止されました。
中小企業において新株予約権を発行しているところはまれかと思いますが、支店を出している場合は、支店の所在地での登記が不要になるので、手間とコストが軽減できそうです。
(13) 取締役等の欠格条項の削除及びこれに伴う規律の整備
取締役等の欠格事由とされていた成年被後見人および被保佐人であることが削除され、成年被後見人や被保佐人でも、各々(成年被後見人の同意を得た上での)成年後見人が成年被後見人に代わって取締役等への就任の承諾をすることや保佐人の同意を得ることで取締役となることができるようになります。
今回の記事は、以下の法務省HP<http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00252.html>掲載の法律要綱と新旧対照条文をベースに、気になったところは、会社法制(企業統治等関係)部会資料<http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_00297.html>なども参照しつつ書いています。
詳しく確認したい方は、これらの資料のほうにあたってみてください。
以 上