Kinoの自転車日記

自転車と共に過ごす日々

ホイールの振れ取り作業

2013-02-04 20:46:05 | ホイール
前回スポークの綾取りをした競輪競走で使う決戦用ホイール
今回はこれの振れ取りを行います 使う選手の希望も有り
それに応える様に作業を進めて行きましょう




部屋の中で自転車を触る事は無いのですが
今回は自転車小屋のあまりの寒さに耐えかね
暖かい所でさせて頂きます






綾取りを終わった段階ではニップルは落ちない
程度しかねじ込んでいません






そのゆるゆるのニップルをこれから締め込んで
行くのですが 最初は指やマイナスドライバーで
全てのニップルを同じ程度締めてやります

この程度を決めるのは ニップルの頭を覗き、そこの
スポークの出具合など 何か自分で基準を作れば
良いと思います




有る程度ニップルを締め込むと ここからニップル
廻しを使います この辺りから色々と考えながら
作業を進めます

振れは縦と横の両方に出ますが 縦振れの方に意識を
多く持った方が良いですね 






ホイールのセンターにも注意を払います バルブ穴から
覗くとハブの胴が見えます ここに事前準備でハブセンターに
付けた印が有ります これをリムのセンターへ持って行く様
横振れを取って行くと良いでしょう これを絶えず意識しながら
作業を進めます






スポークのテンションが上がって来れば リムのニップル穴へ
粘度の低いオイルを一滴 スポークの交差部に一滴オイルを
差してやります これは絶対に必要な作業では有りませんが
良いホイールを組むための調味料です




この辺りに来れば スポークを保持しながらニップル回しを
使います これも良いホイールを組む為にはとても大切な
事です スポークの捩じれは良く有りません

リムを左右に寄せる場合 例えば右に寄せる時は
右フランジのスポークを張るだけではなく、右を
張った分だけ 左のスポークを緩めます

スポークを張るばかりでは縦振れが出ます
それを回避する為です




今回の依頼時の希望は固めのホイールとの事
それも 後輪より前輪をしっかりしたホイールに
して下さいと・・・

希望の固さを具体的に知りたかったので 色々な
ホイールを触ってもらい これが良いですと選んで
貰ったホイールのテンションを参考にしています
普段テンションメーターは使わないのですが こんな
処で役に立ちました(笑)






ホイールのテンションが上がり 仕上げに近づいて来れば
スポークの交差部を強く握ってスポークをいじめたり
ホイールを床に置き体重を掛け わざとホイールを歪ませたりします 
その後、改めて振れ取りをします この作業は何回しても良いですよ

ほぼテンションも予定まで上がりもう直ぐ完成と言う処で
ホイールを一晩寝かせます これも絶対に必要な工程では
有りませんが この一晩でホイールが凄く落ち着きます




ホイールを一晩寝かせました 角が有ったホイールが
凄く丸くなっています わずかな事ですがこれは
した方が良いだろうな・・・

ここでもう一度スポークの張りなどを確認し ホイールを
苛め細かな振れ取りをしてやりましょう






ホイールで大切なセンター出し この確認も忘れては
いけません ただ今回はバルブ穴からセンターを見ながら
作業を進めていたので センターの狂いは 1mm程度でした
この位の修正は 横振れを取る事で充分調整が出来ます

もしどちらかへ寄せる必要が有れば 寄せたい方のスポークを
張り その反対側のスポークを緩める事でリムを寄せます




さてホイール組み最後の仕事です




Loctite ロックタイト 222 低強度の ネジの緩み止め剤です






この 222は本来先行塗布の商品ですが かなり粘度が低いので
私は後浸透として使っています スポークのネジ部、ニップルとの
隙間から一滴塗布します






全てのニップルに塗布した後 ホイールを回転させ
その遠心力でロックタイトをネジの奥まで回します






Loctite 222 の硬化時間は 15分 完全硬化は 24時間です
これは嫌気性で空気が遮断されたら硬化します はみ出して
空気に触れている部分は固まらないので ウエスで拭き取って
やれば完了です





近くの公園です 小さな芽を出している草花も有りますが春の声を聞くのには
もう少し時間が掛りそうですね

今回片方しか使わないのに、両切りのハブを選んでいるのは このハブで車輪を組めば
オチョコ組みにしなくて良いので車輪が無理をしないと このハブを選ぶ選手が結構居ます
ホイールと言うのは人それぞれの考え方が有り中々面白いですよ
さて次は本人の希望でも有るスポークの結線、ソルダリングをやりましょう

前回の記事 【 ホイール組み イタリアン 8本組 】

次の記事 【 ホイールの 結線と床作り 】

コメント (7)
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