請願の初の審議が無事終了し、中央区議会において継続審査されることになりましたので、ご報告致します。当日は、普段なら空席である傍聴席12席を超える傍聴希望者が来られ、抽選となりました。請願への区民の皆様の関心の高さがわかります。
次回の審査日は、9月の予定です。
請願が審議に入ったことを受け、近日中に(7/31の週にでも)、一度、意見交換会が持てればと考えています。
請願件名:
「月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業」を中止したうえで、地域コミュニティーを守る月島再生の検討を求める請願
請願の趣旨:
一、「月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業」の中止を求める。
一、月島地区の防災面等の課題解決を可能にする月島再生の手法について開かれた場で検討することを求める。
請願全文⇒ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/9f06c43e0593369511813a34b53026e9
<7/21環境建設委員会において行った請願を採択すべき理由の説明>
この請願は、月島三丁目南地区の地権者や借家人の法人個人含め11名が請願者となり提出され、平成29年7月20日現在128名の住民が賛同者となっています。賛同者は今後も増加することが見込まれます。
第一の請願趣旨 月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業(以下、本件事業と呼びます。)の中止を求めることの理由は、主に三つあります。
まず、理由の第一として、まちづくりには、地権者の合意形成、借家人の合意形成、そして地域住民の合意形成の三つの合意形成が必要であるにもかかわらず、それら三者それぞれにおいて合意形成が得られていません。
本計画を知った借家人や住民の皆様からは、「そもそも、そこまで巨大な超高層マンションの建設が必要か?」という声をお聴きするところです。多くの住民が、納得をしておらず、住民の合意形成は得られたとは言えません。
地権者の合意はどうか。地権者の書面での同意率は、6月段階で8割にも達していません。また、その同意のあり様も、先日の6月14日開催された中央区議会第二回定例会本会議の私の一般質問(以下、一般質問といいます。)もご紹介させていただいたように、多くの地権者は、周りにあわせて同意書を提出しており、主体的に考えた結果であると言えない状態です。
ここで今一度、立ち止まり、月島らしさを残す現状の良さを維持保存した再生を考えられないかを十分検討し、住民の合意形成を得て行くために、今回の請願の提出にいたりました。
中止を求める二つ目の理由は、第一種市街地再開発事業の手法を採用する場合に求められる都市再開発法3条の4要件を満たしていないことです。
一般質問で、本件事業が4要件を満たすかどうか質したところ、理由の提示することなく該当するとの答弁でした。理由の提示を再質問で求めたところ、3号要件、すなわち、当該地区の「土地利用が著しく不健全であること」について、副区長は、「ひとつひとつを取り上げて、不健全であるとは、考えていない。機能が混在し、動線が入り組むため、総体として、不健全である。」との趣旨の再答弁をされました。①当該地区には、私たちが現況調査をしたところ約35の事業所が賑わいをつくりだしております。これに関しては、証明する証拠書面の提出をさせて頂きたく考えます。②A敷地は、まっすぐに貫通する路地が3本、路地同士の行き止まり部分が細い路地で結ばれたもの1本、行き止まり路地2本を有しています。それら路地は、まっすぐであり、決して入り組んだ街路構造をしていません。③当該地区の耐火造率は36%であり、建物の3分の一以上が不燃化を達成しています。また、④私たちの現況調査によると主たる鉄筋の建造物24棟のうち18棟が、築年数が耐用年数の三分の二に達しない新しい建物であることが分かっています。これに関しては、証明をする証拠書面の提出をさせて頂きたく考えます。
これら事実を的確にとらえることなく、当該地区の「土地利用が著しく不健全である」と評価することは、「重要な事実誤認」あるいは、「事実に対する評価が社会通念に照らし著しく妥当性を欠いており」、当該地区を3号要件に該当するという判断することは、裁量権の逸脱濫用であって許されないと考えます。
「都市機能の更新に資する」という4号要件についても、超高層巨大マンションを建設することが、果たして、都市機能の更新と言えるかどうか大いに疑問です。確かに、本件事業により、①認可保育園整備や、②避難広場、③一時滞在施設整備など防災性の向上に配慮をするものの、これら得られる利益に対して、計画によって新たに生じる不利益として、①超高層建築物の災害における脆弱性(1)超高層ビルの火災時において40mまでしか消防車対応ができない点、2)エレベーターが停止し多くの避難民がビル内に生じる点、3)長周期地震動によるビルの耐震性の問題点や4)長周期地震動により痛んだ構造が巨大地震に耐えられるかという問題点など)、②風害や③遠くまでの日照権の侵害など近隣地域への悪影響、④4年間に及ぶ建設工事に伴う騒音、振動、粉じん被害の月島第一小学校や隣接高齢者施設はじめ近隣地域への悪影響などが生じることが考慮する必要があります。
⑤計画に参加する者にとっては、大規模修繕費の積み立てはじめ高い管理費の経済的負担が生じます。
合わせて、計画によって失われる利益としての、⑥すでにあるまちのにぎわいの喪失や⑦月島の顔の見えるコミュニティの喪失、⑧いまだに新しい地区内の建築物を壊すことの社会的損失、⑨月島らしいまちの風景が失われることがあります。
計画によって得られる利益と、計画によってあらたに生じる不利益や失われる利益を総体で考えるならば、本件事業の計画による不利益のほうが大きくなると考えられます。3号要件同様、これら事実を的確にとらえることなく、本件事業をして「「都市機能の更新に資する」と評価することは、「重要な事実誤認」あるいは、「事実に対する評価が社会通念に照らし著しく妥当性を欠いており」、当該地区を4号要件に該当するという判断することは、裁量権の逸脱濫用であって許されないと考えます。
中止を求める三つ目の理由として、本件事業の都市計画立案が、そもそも、まちづくりの民主的な手続きを経て作成されたものではないということです。
裏付ける事実のひとつとして、本件事業では、計画への意見の反映どころか借家人や住民に知らされることなく「計画素案」が作成されています。まちづくりには、中央区の新基本構想の理念にもなったソーシャル・インクルージョン、誰も排除されないという理念があるにもかかわらず、この計画作成のおいては、借家人や地域住民が排除されて作成されました。
また、借家人や住民の意見が計画に反映されることは、中央区及び準備組合の前段階の協議会でも約束されていたにも関わらず、約束の不履行、信義則により許されない債務不履行であると考えます。これに関しては、証明をする平成25年3月14日会合の議事録を証拠書面として提出をさせて頂きたく考えます。
さらに、重大な事実として、副区長が、予算特別委員会において計画素案があるにも関わらず、ないと答弁したことを、一般質問で副区長は認められました。この事実は、予算審議の際必要とされる行政の説明責任が、虚偽答弁という不正な手段を用いて逃れたことを意味します。副区長の個人的な責任で済ませてよいというものではなく、不正な手段を用いて議会に本件事業の予算付けに際し白紙委任を強いたわけで、議会の承認を正当に得られたとはいえず、本件事業の予算の承認は無効であって予算執行は許されないと考えます。
このように、本件事業の立案過程において、見逃すことのできない重大な民主的な手続きを欠いており、中止を求める理由の三つ目です。
次に、二つ目の請願趣旨、当該地区の課題を解決する月島再生の手法を開かれた場で検討することを求めることについてですが、月島の長屋の生活景を、下町を舞台にしたNHK朝の連続ドラマ『瞳』のロケ舞台になった月島三丁目南地区にこそ残して、月島の再生をすることが、月島地域だけではなく中央区の発展に寄与すると考えるからこそ、請願させていただきました。そして、その月島再生の手法を見出すことは可能であると考えています。
すなわち、①防犯面対策としては、数軒ある空き家対策を早急にすること、②防災面対策としては、地震の際に電源を落とす装備などつけることや、③耐震診断と耐震対策をとること、④消防団や地域防災区民組織との連携訓練を行うことなどし、地域課題の解決をするとともに、再生の手法実現に向けた資金獲得の課題についても、⑤定期借地権を創設しての資金獲得や、⑥クラウドファンディング、⑦ふるさと納税を用いて資金獲得することは可能であると考えます。
以上、申し述べたように、地域コミュニティやにぎわいを失いかねない超高層によるまちづくりではなく、月島らしさをのこす街の再生手法を行うために本件請願を採択いただけますようにお願い申し上げます。
なお、趣旨説明のこの場において、証拠書類の提出を区議会会議規則117条に基づき、環境建設委員会委員長にお願いしましたが、「証拠書類は、請願提出時に出されたものでなければ認められない」という理由のもと却下されました。区議会会議規則99条では、請願提出において、証拠書類の添付は義務付けられておらず、委員長の却下の判断はその権限を逸脱濫用したものであり、この却下は、結果として公正中立な委員会運営に支障を来しております。改めて、今回の趣旨説明の中で用いた証拠書面を後日各委員に配布する許可をいただけますようにお願いして、趣旨説明を終わります。
以上
********法文参照***********
〇都市再開発法
(第一種市街地再開発事業の施行区域)
第三条 都市計画法第十二条第二項 の規定により第一種市街地再開発事業について都市計画に定めるべき施行区域は、第七条第一項の規定による市街地再開発促進区域内の土地の区域又は次に掲げる条件に該当する土地の区域でなければならない。
一 当該区域が高度利用地区、都市再生特別地区、特定用途誘導地区又は特定地区計画等区域内にあること。
二 当該区域内にある耐火建築物(建築基準法第二条第九号の二 に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)で次に掲げるもの以外のものの建築面積の合計が、当該区域内にある全ての建築物の建築面積の合計のおおむね三分の一以下であること又は当該区域内にある耐火建築物で次に掲げるもの以外のものの敷地面積の合計が、当該区域内の全ての宅地の面積の合計のおおむね三分の一以下であること。
イ 地階を除く階数が二以下であるもの
ロ 政令で定める耐用年限の三分の二を経過しているもの
ハ 災害その他の理由によりロに掲げるものと同程度の機能低下を生じているもの
ニ 建築面積が、当該区域に係る高度利用地区、都市再生特別地区、特定用途誘導地区、地区計画、防災街区整備地区計画又は沿道地区計画に関する都市計画(以下「高度利用地区等に関する都市計画」という。)において定められた建築物の建築面積の最低限度の四分の三未満であるもの
ホ 容積率(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計を算定の基礎とする容積率。以下同じ。)が、当該区域に係る高度利用地区等に関する都市計画において定められた建築物の容積率の最高限度の三分の一未満であるもの
ヘ 都市計画法第四条第六項 に規定する都市計画施設(以下「都市計画施設」という。)である公共施設の整備に伴い除却すべきもの
三 当該区域内に十分な公共施設がないこと、当該区域内の土地の利用が細分されていること等により、当該区域内の土地の利用状況が著しく不健全であること。
四 当該区域内の土地の高度利用を図ることが、当該都市の機能の更新に貢献すること。
〇中央区議会会議規則
(請願書の記載事項等)
第九十九条 請願書には、邦文を用いて、請願の件名及び趣旨、提出年月日、請願者の住所及び氏名(法人の場合にはその名称及び代表者の氏名)を記載し、押印をしなければならない。
2 請願を紹介する議員は、請願書の表紙に署名又は記名押印しなければならない。
3 請願書の提出は、平穏になされなければならない。
(資料等印刷物の配付許可)
第百十七条 議場又は委員会の会議室において、資料、新聞、文書等の印刷物を配付するときは、議長又は委員長の許可を得なければならない。