(2022.6.15までの経緯を踏まえ、書き直しています。)
区民の皆様、クリニックに通院いただいている皆様、日頃よりお世話になっている皆様に、ご心配、ご迷惑をおかけしておりますこと、改めてお詫び申し上げます。
本来は、すべての方に直接ご説明すべきところではございますが、私の言葉で経緯等をご説明すべきと考え、こちらに掲載することと致しました。
本年4月5日、東京都の事業である「PCR等検査無料化事業」の視察目的で、自ら無料PCRセンターで検査を実施したところ、翌日に「陽性(疑い)」の結果通知を受けました。検査を受ける前後の私の体調は良好で、発熱・咳などの症状もなく健康でした。抗原検査キットを用いて自ら検査をしたところ、陰性でした。この結果をみて、PCR検査結果の偽陽性(※1)を疑いましたが、そうでなかったとしても、過去の不顕性感染(※2)が反映されたものであり、私からほかの人に感染する可能性は極めて低いと判断し、診療を継続いたしました。
まん延防止等重点期間は3月21日に終了していたものの、4月上旬はまだまだ、小児を含め新型コロナウイルスを疑っての受診希望者が多数ご来院されており、また、3月から開始された5-11歳の子どもの新型コロナワクチン接種の1回目接種からちょうど3週間で実施することとなる2回目接種のご予約も多数入っていました。
「エッセンシャル・ワーカー」の一人として、これらコロナ診療の第一線からは離脱するわけにはいかないとの思いがあり、自身の体調の変化に十分に注意を払いつつ診療を継続いたした次第です。以後、私は、コロナの症状を呈することなく健康な状態で現在に至っております。
保健所からの指導にも従い、その期間に診療をしたすべての患者様には、「感染の可能性がゼロではない状況で診療をしたこと」のご説明と謝罪及び体調の確認のお電話を入れさせていただいております。ご連絡の取れました全患者様にコロナの症状が生じた方はおられませんでした。
なお、私は、上記経緯の中で感染症法に基づく就業制限義務(同法第18条)を負っておらず、就業制限義務違反は決して致しておりません。区議会だよりに掲載された私に関する記事では、この点等、事実関係に誤りが含まれております。事前に訂正を求めたのですが、受け入れられませんでした。
しかし、抗原検査という客観的な検査は用いつつではありましたが、自身の症状を自身で判断したことにつきましては、第三者の判断も用いるべきであったと大いに反省を致します。
小児科医としてリスクと医療貢献を比較衡量し、診療継続でなすことができる医療貢献のほうが大きいと判断し、診療を継続致しました。当院を頼られて来られる患者様を路頭に迷わせたくはありませんでしたし、その患者様のご対応をすることこそが、新型コロナウイルスの発生の予防及びまん延の防止に資すると考えていました。小児科医としての信念からの行動であり、ご批判があれば謙虚に学んでいきたいと考えております。
※1 偽陽性とは、「真の陰性」の検査結果が「間違って陽性」と判定されることです。偽陽性の場合には、「真の陰性」なので、ほかの人に感染させることはありません。
※2 過去の不顕性感染とは、コロナ感染を受けたにも関わらず、感染症状を発症しないまま治癒にいたったことをいいます。過去の不顕性感染の場合、すでにコロナ感染の治癒した状態なので、ほかの人に感染させる可能性は極めて低いと考えられます。ただし、いつ感染したのか、いつ治癒したのかは、実際はわかりません。不顕性感染の人が保菌者(キャリア)となって、病原体を排泄し感染源となる可能性には疫学上注意が必要です。抗体検査で感染の時期を調べたり、抗原検査を用いて感染性を確かめることもあります。そのため、今回は自ら抗原検査を行い、感染性を確かめました。
参考資料:陰性確認を行った際に実際に用いた抗原検査キット
医療廃棄物処理容器内で一部分けて保存していたものを取り出し4月25日に撮影したもの。