中央区では、基本計画の改訂が、令和4年度の最重要課題です。
その中でも特に前進させねばならないことが、インクルージョン「誰一人取り残さないこと」だと考えています。
明石市が、あかしインクルーシブ条例を作られておられ、共有します。
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https://www.city.akashi.lg.jp/fukushi/fu_soumu_ka/sabetsu/20180928_inkuru-sibu.html
https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/sdgs/documents/joubun_text.txt
すべての人が自分らしく生きられるインクルーシブなまちづくり条例 目次 前文 第1章 総則(第1条―第7条) 第2章 基本方針(第8条―第11条) 第3章 インクルーシブ社会の実現に向けた基本的な施策(第12条―第20条)
附則
人は多様であり、誰一人として同じ人間はいません。そして、一人ひとりの個性が尊重され、誰もが差別されず、自由を制限されることなく暮らす権利を持っています。この考え方は、児童の権利に関する条約や障害者の権利に関する条約など国際的な人権条約でも保障されていて、世界共通の目標であるSDGsの中でも人権の尊重を土台として、「誰一人取り残さないインクルーシブな社会」を目指していくことが掲げられています。 明石市は、こうした国際規範を踏まえ、多様な市民の声を聴き、コミュニケーションを重ねてそのニーズを施策に反映させることを模索しながら、みんながありのままで安心して暮らせるまちを目指して、様々なまちづくりの取組を推進してきました。 そのような中、2020年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に端を発した社会の変化は、障害者や高齢者、生活困窮者など生活上の制限を受けている人はもとより、多くの市民に様々な制限を強いる状況をつくり出しただけでなく、ウイルス感染をめぐる新たな差別や排除、分断や孤立を生み出すこととなりました。他方で、「これまであたりまえにできていたことができなくなる」といった生活上の制限を多くの人が感じざるを得ない状況に至ったことは、誰もが制限されることなく安心して暮らせるまちの必要性を、市民一人ひとりが実感する大きなきっかけとなりました。 今こそ、生きづらさを感じている多様な人たちがまちづくりに参加し、その視点や経験を活かして市民一人ひとりが感じている制限を取り払う方法を模索しながら、誰一人取り残さないインクルーシブな社会の実現を目指していくべきです。 ここに私たちは、明石市の「やさしいまちづくり」の考え方に沿った「インクルーシブ」という世界共通の理念を共有し、今後生じる差別も含め「いかなる差別も許さない」という決意を示すとともに、市民一人ひとりの尊厳と多様性が大切にされ、誰もが自由を制限されることのないまちづくりをみんなで進めていくために、この条例を制定します。 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、すべての市民が異なる価値観を認め合い、市民一人ひとりの多様性が尊重されることで、誰もが持てる力を発揮できるインクルーシブなまちをつくるために必要な事項を定めることにより、すべての市民が大切にされ、誰一人取り残されることのないインクルーシブ社会を実現することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) インクルーシブ社会 多様性が尊重され、障害の有無及び程度、年齢、性別、国籍等によって、差別され、排除され、取り残され、又は社会の一員として分け隔てられることなく、誰もが望む場所で安心して楽しみながら生活することができる社会をいう。 (2) ユニバーサルデザインのまちづくり 障害の社会モデル(障害は機能障害と周囲の様々な障壁との相互作用によって生じるとする考え方をいう。)を踏まえ、障害の有無及び程度、年齢、性別、国籍等にかかわらず、誰もが自由に移動でき、安全かつ快適な生活を営むことができるまちにすることをいう。 (3) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難治性疾患その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁(日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。以下同じ。)により、継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (4) 障害者等 障害者をはじめ、日常生活又は社会生活の様々な場面において支援を必要とする状態にある者をいう。 (5) 市民 市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。 (6) 事業者 市内において事業活動を行う者又は団体をいう。 (基本理念) 第3条 インクルーシブ社会は、障害者等が、他の者との平等を基礎として、意思の形成又は表明に係る支援その他の必要とする支援を受けられることを基本として実現されなければならない。 2 インクルーシブ社会は、障害者等が支援される存在としてのみ捉えられるのではなく、その自己決定権が尊重され、その参画が社会全体によい効果を生み出すために必要であると理解されることを基本として実現されなければならない。 3 インクルーシブ社会は、誰もが日常生活又は社会生活の様々な場面において支援を必要とする状態になり得るとの認識のもと、障害者等が必要なときに必要な支援を受けられることが、誰もが心から安心して暮らせる社会につながると理解されることを基本として実現されなければならない。 4 インクルーシブ社会は、誰もがそれぞれの置かれた状況に応じて個性を活かし、持てる力を最大限に発揮することを旨として実現されなければならない。 (市の責務) 第4条 市は、基本理念にのっとり、インクルーシブ社会の実現に向けた施策(以下「インクルーシブ施策」という。)を推進するものとする。 2 市は、職員に対して研修等を行い、インクルーシブ社会の実現に向けて取り組むために必要な職員一人ひとりの意識の向上を図らなければならない。 3 市は、総合的かつ計画的にインクルーシブ施策を推進するために、市の関係部局の横断的かつ一体的な連携を促進するものとする。 (市民の役割) 第5条 市民は、基本理念に対する理解を深めるとともに、積極的にインクルーシブ社会の実現に向けた取組(以下「インクルーシブな取組」という。)を推進するよう努めなければならない。 2 市民は、市が実施するインクルーシブ施策に協力するよう努めなければならない。 (事業者の役割) 第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深めるとともに、積極的にインクルーシブな取組を推進するよう努めなければならない。 2 事業者は、市が実施するインクルーシブ施策に協力するよう努めなければならない。 3 事業者は、誰もが働きやすい就労環境の整備を推進するものとする。 (財政上の措置) 第7条 市は、インクルーシブ施策を推進するため、予算の範囲内において、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
第2章 基本方針 (あらゆる差別の解消) 第8条 インクルーシブ社会を実現するためには、あらゆる差別が解消されなければならない。 2 市は、市民、事業者及び関係機関と連携しながら、差別を解消するために必要な施策を推進するものとする。 3 前項に規定する必要な施策のうち、合理的配慮の提供(障害者が現に社会的障壁の除去を必要としていることが認識できる場合において、当該障害者が障害者でない者と同等に権利を行使することができるようにするため、その実施が社会通念上相当と認められる範囲を超えた過重な負担とならない程度で、当該障害者の意向を尊重しながら、その性別、年齢及び障害の状態に応じて、必要かつ適切な現状の変更及び調整等の措置を行うことをいう。)その他の障害を理由とする差別の解消に必要な事項は、別に条例で定める。 (障害者等の参画) 第9条 インクルーシブ施策及びインクルーシブな取組(以下「インクルーシブな取組等」という。)を効果的に実施するには、障害者等の参画を得ることの重要性及び有効性を障害者等を含むすべての者が深く認識するとともに、様々な立場の障害者等の積極的な参画が図られなければならない。 2 障害者等の参画は、障害者等との対話を通じ、共にインクルーシブ社会の実現を目指すという姿勢で行われなければならない。 3 インクルーシブな取組等について、障害者等の参画を得た場合は、当該参画を行った障害者等のニーズを踏まえ、その検討が行われなければならない。 4 市は、インクルーシブ施策を実施する場合は、企画立案から評価検証に至るまでのすべての過程において、障害者等の参画機会を確保するものとする。 (情報の確保及び利用) 第10条 インクルーシブ社会を実現するためには、すべての者が必要な情報を確保することができるよう配慮されなければならない。 2 市は、情報を得ることが困難な者が有している多種多様なニーズを的確に把握し、必要な情報をこれらの者に適切に提供するものとする。 3 市は、誰もが円滑に情報を利用し、及びその意思を表示できるよう、情報伝達手段の確保等に関し、必要な施策を講じなければならない。 4 前項に規定する必要な施策のうち、手話等コミュニケーション手段(独自言語としての手話、要約筆記等の文字の表示、点字、音訳、平易な表現、代筆及び代読その他日常生活又は社会参加を行う場合に必要とされる補助的及び代替的な手段としての情報及びコミュニケーション支援用具等をいう。)の推進に関し必要な事項は、別に条例で定める。 (市、市民、事業者及び関係機関の連携協力) 第11条 市、市民、事業者及び関係機関は、相互に連携協力し、一体となって、インクルーシブな取組等を推進しなければならない。 2 市は、総合的かつ計画的にインクルーシブな取組等を推進するために、市、市民、事業者及び関係機関の連携を促進しなければならない。
第3章 インクルーシブ社会の実現に向けた基本的な施策 (インクルーシブ教育の推進) 第12条 すべての子どもたちが、地域の学校で共に学ぶことを基本とし、かつ、安心して学び、自分らしさを発揮できる学校教育(以下「インクルーシブ教育」という。)を実現するためには、市、学校、関係機関等の連携のもと、これらの者及び子どもたちの家族の間でインクルーシブ教育の理念が共有されるとともに、子どもたちの声に耳を傾けながら、誰もが参加し、学ぶことのできる環境づくりが図られなければならない。 2 市は、学校、関係機関等の連携に向けた取組、教職員の理解を深めるための取組その他のインクルーシブ教育を実現するために必要な学校、関係機関等に対する取組を推進するものとする。 3 市は、様々な特性を持つ子どもたちが共に過ごすことができる環境を確保し、すべての子どもたちに対して多様性への理解を深める取組を実施する。 4 市は、すべての子どもたちが、地域の学校で共に学ぶことができる環境及び学びの機会について、自分自身で選択することができる環境を整えるものとする。 5 市は、専門性を持つ人的資源を確保するなど前3項の取組を推進するために必要な措置を講じるものとする。 (災害時要配慮者の支援等) 第13条 災害時に災害時要配慮者(災害時に特に配慮を要する者をいう。以下同じ。)の安全が確保されるためには、平常時における地域住民同士のつながりの重要性が市、市民、事業者、関係機関等に認識されなければならない。 2 市は、災害時において、災害時要配慮者の避難及び避難生活が適切に支援されるよう、日頃から地域住民同士が連携協力しやすい環境づくりに努めるものとする。 3 市は、前項に掲げるもののほか、災害時における災害時要配慮者に対する支援に係る施策を推進するものとする。 4 市は、災害と同程度と認められる大規模な感染症その他市民の生活及び安全が脅かされる事態が発生した場合は、市民の生活及び安全を確保するため、当該事態の特性を踏まえ、迅速かつ適切な対応を行うものとする。 (総合相談支援体制の整備等) 第14条 市は、障害者等からの相談に総合的に対応することができるよう、関係部局の横断的な連携のもと、相談体制を整備するものとする。 2 市は、相談体制を整備する際には、関係機関及び地域住民と連携するものとする。 3 市は、障害者等が抱える課題が深刻化する前に当該課題を顕在化させるとともに、本人の意思決定を尊重し、及び支援し、かつ、本人自らの力が発揮されるよう配慮しながら、課題解決につなげるための適切な支援に努めるものとする。 (地域生活の支援) 第15条 誰もが地域で安心して快適に生活するためには、住まいの確保、支援サービスの提供その他の地域での暮らしの支援に関する取組が推進されなければならない。 2 市は、障害者の地域移行の促進に寄与する施設の整備その他の住まいの確保に困難を抱える者にとって必要な施策を行うよう努めるものとする。 3 市は、福祉に関する知識又は介護等の技能を有する者(以下「福祉人材」という。)の知識及び技能の必要性を認識し、かつ、当該必要性に係る事業者の理解促進に努めるものとする。 4 市は、研修の実施その他の必要な施策の実施により、積極的に福祉人材の養成及び専門性の向上を図るとともに、福祉人材の確保に関する施策の実施に努めるものとする。 (障害者等に対する雇用及び就労の支援) 第16条 市は、雇用する障害者等の就労環境を整備するとともに、事業者、関係機関等と相互に連携して、それぞれの特性に応じた障害者等の適切な雇用及び就労の機会の確保に努めるものとする。 (地域生活関連施設の整備等) 第17条 地域生活関連施設(官公署、学校等の公共施設、事業所、事務所、病院、集会場、物品販売業又はサービス業を営む店舗、宿泊施設、鉄道の駅、道路、公園その他の不特定又は多数の者が利用する施設をいう。以下同じ。)は、障害者等をはじめすべての市民の尊厳が大切にされ、誰もが分け隔てなく利用できるよう配慮されたものでなければならない。 2 地域生活関連施設を管理する者は、障害者等をはじめすべての市民が当該施設を安全かつ快適に利用できるよう、当該施設の職員に対する障害者等の理解に係る研修その他の必要な取組を実施するよう努めるものとする。 3 市は、障害者等及び地域住民のニーズを踏まえて、地域生活関連施設の整備に係る施策及び前項の取組の支援に係る施策の実施に努めるものとする。 (移動手段の確保) 第18条 市は、障害者等をはじめすべての市民の安全で安心かつ自由な移動を実現するため、切れ目のない移動手段の確保及び整備(移動するために必要な情報の確保及び情報環境の整備を含む。)に努めるものとする。 (移動等円滑化促進方針及び基本構想との関係) 第19条 市は、移動等円滑化促進方針(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第24条の2第1項に規定する移動等円滑化促進方針をいう。)又は基本構想(同法第25条第1項に規定する基本構想をいう。)を作成した場合は、これらに従ってユニバーサルデザインのまちづくりを推進しなければならない。 (ユニバーサルツーリズムの促進) 第20条 市は、障害の有無及び程度、年齢、性別、国籍等にかかわらず、市民及び観光客の誰もが旅行を安心して楽しむことができる環境の整備に努めるとともに、当該旅行の普及促進に努めるものとする。 2 市は、前項の規定による環境整備及び普及促進に当たっては、様々な分野の関係機関と連携するものとする。 附 則 この条例は、令和4年4月1日から施行する。