問い:「子どもアドボケイトが子どもの福祉サービス提供者(たとえば市町村、都道府県等の地方自治体、児童相談所、一時保護所、里親、児童養護施設など)と連携する際に心がけるべきこと」
記載する際のポイント
・対象とする子どもの気持ちや思いを理解しているか
・対象とする子どもの置かれている状況とアドボカシーの必要性を理解しているか
・対象とする子どもとかかわる法律・制度・社会資源を理解しているか
回答:
アドボケイトが、福祉サービス提供者と有機的な連携を図って初めて、その目的とする子どもの声を反映することに繋がる。
その連携の際の心がける点を、市町村、児童相談所、一時保護所、里親、児童養護施設についてそれぞれについて、以下に述べる。
1、市町村等自治体
子育て支援の一番身近な子育ての現場を、市町村は担っている。連携先は、子ども家庭支援センターや学校などが、特に想定される。
(1)子ども家庭支援センター
要保護児童対策協議会なども、子ども家庭支援センター主催で開催されることとなる。
アドボケイトは、要保護児童対策協議会のケース会議で参加することにもなるであろう。
フットワークよく、顔の見える関係性を築くことが求められる。
(2)小中学校
また、担当する子どもが通う小学校や中学校とも、本児の希望を伝え、もし、学校に通いたいということや、学校とオンラインでつながりたいなどの希望が出ている場合は、学校側とその希望を伝えながら、実現に向け調整することが求められる。
(3)その他
そもそも、子どもの権利条約が、大人にも、子ども達にも浸透していない状況がある。その重要性が知られるようにしていくとともに、アドボケイトをやってみようという機運醸成もまた大事である。
それらを支援してくれる職員を、市町村内で見出し連携をしていければよいと思う。
2,児童相談所
本児が、社会的養護を受けている施設内の課題について、解決に向け、助言をいただく関係性を築くことが必要ではないかと考える。その施設の内発的な改善を待っても解消されない場合や、その改善を待つには時間がない時など、特に、児童相談所に動いていただくことが必要になるのではないかと考える。
本児にとって最も重要な決定事項(措置の方向性)を、本児と伴走しながら、児童相談所に伝えていくこととなるため、緊密な連携が必要となる。
3,一時保護所
一時保護所は、社会的養護を受ける子どもが家庭から離されて、まず、入所する場であり、状況がわからずに、子どもが入所することになる。
その子どもに、何が起きているのか、これからどのような状況になるのかを、理解をして行ってもらう中で、アドボケイトもとても重要な存在となる。
本児に寄り添いながら、不安な気持ちや思いを、受け止め、何か施設に伝えたいことがないか、学校に通うことなどの希望はどうか、そして、今後の進路として、家に戻りたいか、里親・児童養護施設に入るのがよいかどの進路を選択していきたいのかを、本児が考え、そして、児童相談所なり方針を決定する部門へ本児が伝えるか、本児に代わって伝えるかしていく。
4,里親
その家庭に入っていくため、慎重に連携体制を構築する必要がある。
里親家庭には、いくつも入ってくる部署があり、その対応に里親は翻弄されることのないように、プライバシーに配慮しながら、関連部署との連絡体制も密に取ったうえで、里親家庭に入っていく。
面談の場所や時間の設定も、里親と綿密な連携のもと調整を行わねばならない。
里親の実子がおられる場合は、その実子への配慮も怠ってはならない。本児と共に、実子への意見や気持ちを聞くアドボケイトも必要である。
里親での子どもには、同じ境遇の子どもと触れ合える場も持てるように、そのような場につなげたり、ない場合には作ったりしていくことが重要である。
5,児童養護施設
施設における課題の改善など、本児から出て来た意見や気持ちを、施設側にうまく伝えていくことが必要である。その際、そもそも、なぜ、施設側がそのような制度ややり方を取ってきているかを事前に把握して、その上で、本児の意見を受けて、施設側に伝えることが、より課題の把握が深まり、解決に向けた対応が取れることとなる。
施設側の事情を知っていながら、本児の希望を伝えることと、まったく知らないで伝えることとでは、受ける側の施設職員の伝わりかたも変わって来る。
それゆえ、細かな観察眼をもって、施設にアドボケイトは入っていかねばならないし、施設側職員と信頼関係を作り細かなことでも聞ける関係性をまずもって作っておくことが求められる。
以上