平成22年度予算審議で述べた中央区の課題を抜粋してみます。
****平成22年度予算審議(平成22年3月26日(金曜日))友愛中央 態度表明文より抜粋****
人口減少、高齢社会の到来とともに、これまでの拡大・右肩上がり路線を軌道修正し、いかに縮小に対応していくか、低成長社会の中で持続可能性をいかに見出すかが今の日本経済の喫緊の課題となっています。幸いにして、本区は、長年の目標であった人口10万を平成18年に達成、30代を中心とした若年世帯の転入が人口増加を支えており、また江戸開府以来の文化、商業、情報の中心地として今なお発展し、まちのにぎわいが続いています。しかし、急激な人口増加と相まって、区民の多様なニーズや価値観の広がりが加速されるとともに、新旧住民の接点の不足、住民同士の連帯感の希薄化、地域を支える担い手の高齢化や、なり手不足など、地域力の低下が叫ばれています。
地域諸課題解決に向けたなお一層の取り組み方が求められている中、来年度、平成22年度予算案がまちづくり基本条例案とともに提案されました。同時に、新たな形の公共としての中間支援拠点整備を含めた協働の仕組みを提案する中央区協働推進会議報告書や10年後の教育目標の達成を描く中央区教育振興基本計画検討委員会報告書等も議会報告を受けているところです。両報告書の今後の着実な運用に期待しています。
私たちは、来年度予算を行政運営の大切な4つの視点を持ちながら、すなわち情報公開・情報開示、市民参加、連携、そして人材育成の視点から分析を加え、討論してまいりました。
歳入面では、歳出削減や予算執行の効率化の姿勢をさらに持つことと、広告収入を初め、財源獲得のさらなる努力を期待いたします。
歳出面では、区長の所信表明において人類繁栄の礎である平和と環境をすべての施策の根幹に据えることを明言されておりますが、平和、環境にあわせて福祉の3つを施策の根幹と位置づけ、区政運営を行っていくことが今後求められることを私たち友愛中央は考えています。
平和では、国際都市東京、その中心である中央区の位置づけを再認識し、国際交流をさらに発展させていく中で国際理解を深め、小さいながらも着実な人と人のつながりの上に世界平和を構築していくべきであります。
環境では、エコスクール・エコタウン構想の策定と実施に期待するとともに、一人一人の区民が実感して取り組むことができるクール・アース・デーなどの企画やアダプト制度や協働の仕組みを活用しながら、緑化・芝生化への積極的な区民参加が広がっていくことが期待されます。都心中央区が環境施策の先進的取り組みを行うことの全国への情報発信力や波及効果も念頭に、果敢に取り組まれることを要望いたします。
福祉では、健康に24時間365日安心して生活すること、どこへでもだれもが安心して出かけられること、安心して産み育てられることを実現するための、さらなる安心福祉のための都心居住モデルを、まちづくり基本条例を活用しながら構築していかねばなりません。
平成10年策定の基本構想でいう都心居住10万人を達成し、今後、「では、定住人口はどこまでの増加を目指すのか」の長期的な見通しを初め、新たな諸課題解決に向け、基本構想の見直しが求められるところでありますが、本区が抱える緊急課題と中・長期課題を見てまいります。
緊急課題としては、1、昨年8月に子育て支援対策本部を立ち上げ、検討が続けられている待機児童解消や幼保一元化、周産期医療体制を初め、子育て支援策のさらなる充実、2、在宅療養支援や認知症対策など取り組みが複雑化している高齢者福祉の充実、3、個々の商店街のビジョンを明らかにしながらの商店街活性化、そして4、来年度策定を行う人材育成基本方針の実効性ある立案や、ボランティアを初め、教育を支える人材の育成、就労に向けた人材の育成など、さまざまな形での人材育成の4つが挙げられ、それぞれ積極的な取り組み方が求められています。
中・長期課題としては、1、新しい施設の整備、2、施設の更新、まちの更新、3、築地市場の移転問題、そして4、地方分権の確立があります。
1、新しい施設の整備では、労働スクエア跡地を活用した京橋図書館の移転、生涯学習拠点の整備や、京橋地区の再開発に伴った環境館や観光館の整備が行われるところですが、幅広く意見を入れた施設整備と、その運営において協働の仕組みも取り入れた区民参加の拡充を期待いたします。
2、施設の更新、まちの更新としては、復興小学校の改築・改修、歌舞伎座の建てかえなどの文化・教育施設の更新や、防災上課題の多い地域のまちの更新があります。さらに、マンション居住が86%となった現状において、世代交代にどう対応するのか。千里ニュータウンではオールドタウン化、すなわち短期間に建設された同質の住宅にほぼ同世代のファミリー層が多量に流入し、親世代が定住を志向する中で、子世代は進学、就業、結婚とともに域外に流出し、結果として夫婦、単身の高齢世帯が多量に発生し、もう一方で住宅、施設が老朽化、陳腐化する現象が言われており、本区でも世代交代に備えた対策を開発の当初から盛り込む必要性があり、まちづくり基本条例がうまく機能することを待ち望みます。
超高層住宅の100年後の建てかえ等の更新においては、現段階で近未来に責任のある施策を実施することは困難でありますが、少なくとも、現在どのような考え方でまちづくりを行ってきたか、その考え方を整理し、後世に伝えていくことが私たちのとるべき最低限の責務であると考えます。公文書館の設置や地域資料室の充実を、京橋図書館の移転にあわせ、求めていきたいところです。その他、まちづくりについて、従来からの課題であるまちづくり協議会改革や、中央区の立体模型ジオラマを設置したまちづくり課題の議論の場の整備も求められるところです。
3、築地市場の移転問題では、中央区及び議会が一丸となって、移転断固反対、現在地再整備の姿勢を貫いています。3月26日現在、都議会でその論議が進められているところですが、ぜひとも築地市場を現在地で再整備を実現し、都民の台所としての機能とともに、築地、銀座、歌舞伎座を一体とした一大観光・商業の拠点整備を求めていきたいものです。将来的には、ゆりかもめの豊洲から新橋への延伸・周回化及び羽田国際空港のハブ機能の進展に連携して、広域的な臨海部一体による発展が期待されます。
4、地方分権の確立では、特区制度改革の取り組みの進展と、協働という新たな形の公共の広がりによる住民自治が確立された結果、到達することを期待しています。
以上、来年度予算執行で注目すべき課題を述べてまいりましたが、最後に、現在の区の行政運営における住民の皆様との合意形成のあり方について、復興小学校改築の例を中心に指摘させていただきます。
健康・衛生環境、防災、学習環境の整備の英知を最大限に結集して関東大震災後に建てられた復興小学校に通う子供たちは、アーチや曲面を多用した表現主義と言われる歴史と伝統、風格あるその学びやにおいて日々情緒豊かに学んでいます。明石小学校に長年勤務したある教師は、「居留地、震災、戦災をくぐり抜けてきたその校舎で学ぶことで自然に歴史を学ぶことができている」と高く評価されておりますし、実際に学校に通う小学生は、今の学校が取り壊されると聞いたときに涙を浮かべ、「お父さん、今の学校はとても楽しいよ」と訴えていたということです。
実際、報道によると、卒業生ら、中央区立明石小学校の保存を望む会、署名298筆、保護者や地域住民の明石小学校改築を考える会、署名1,742筆など、保存を求める署名や、日本建築学会関東支部から復興小学校の保存を求める要望書が出されている段階です。中央区は、改築に向け、手続を踏んでいるということですが、では、なぜ今、これだけの保存を求める声が上がるのでしょうか。手続とは、本来、決定プロセスを明らかにし、区民の権利、利益を守るためにあるはずです。その手続を逆手にとって、手続を経たからという理由で、これだけ多数ある区民の声を無視して本当によいのでしょうか。
さらに、手続自体に問題はなかったのでしょうか。1、平成19年度の学校施設整備基本調査報告書が非開示であること、2、建築学の専門家や学識経験者なしに策定された小学校改築計画策定報告書自体の報告の疑義、3、具体的議論がない中で改築対象校3校の選定がされたこと、4、幅広い事前公告がなされずに開催された改築準備協議会の密室性と同協議会の審議過程の問題点、5、改築に関連した地元への説明会の開催のおくれなど、その手続において多くの問題点が挙げられます。
現在、全国各地で行政の方針に対し、合意形成を得る段階で、問題意識を持つ住民のさまざまな声が上がっているところであります。復興小学校改築予算の執行の是非を司法判断にゆだねることに発展する前に、どうか地域住民、保護者、卒業生、日本建築学会ら関係者と十分な合意形成を持つべきであると考えます。合意形成を得ることの重要性は、区内他地域の再開発問題や歩行環境整備に関してなど、区の諸課題すべてに当てはまります。
*****抜粋終わり****
****平成22年度予算審議(平成22年3月26日(金曜日))友愛中央 態度表明文より抜粋****
人口減少、高齢社会の到来とともに、これまでの拡大・右肩上がり路線を軌道修正し、いかに縮小に対応していくか、低成長社会の中で持続可能性をいかに見出すかが今の日本経済の喫緊の課題となっています。幸いにして、本区は、長年の目標であった人口10万を平成18年に達成、30代を中心とした若年世帯の転入が人口増加を支えており、また江戸開府以来の文化、商業、情報の中心地として今なお発展し、まちのにぎわいが続いています。しかし、急激な人口増加と相まって、区民の多様なニーズや価値観の広がりが加速されるとともに、新旧住民の接点の不足、住民同士の連帯感の希薄化、地域を支える担い手の高齢化や、なり手不足など、地域力の低下が叫ばれています。
地域諸課題解決に向けたなお一層の取り組み方が求められている中、来年度、平成22年度予算案がまちづくり基本条例案とともに提案されました。同時に、新たな形の公共としての中間支援拠点整備を含めた協働の仕組みを提案する中央区協働推進会議報告書や10年後の教育目標の達成を描く中央区教育振興基本計画検討委員会報告書等も議会報告を受けているところです。両報告書の今後の着実な運用に期待しています。
私たちは、来年度予算を行政運営の大切な4つの視点を持ちながら、すなわち情報公開・情報開示、市民参加、連携、そして人材育成の視点から分析を加え、討論してまいりました。
歳入面では、歳出削減や予算執行の効率化の姿勢をさらに持つことと、広告収入を初め、財源獲得のさらなる努力を期待いたします。
歳出面では、区長の所信表明において人類繁栄の礎である平和と環境をすべての施策の根幹に据えることを明言されておりますが、平和、環境にあわせて福祉の3つを施策の根幹と位置づけ、区政運営を行っていくことが今後求められることを私たち友愛中央は考えています。
平和では、国際都市東京、その中心である中央区の位置づけを再認識し、国際交流をさらに発展させていく中で国際理解を深め、小さいながらも着実な人と人のつながりの上に世界平和を構築していくべきであります。
環境では、エコスクール・エコタウン構想の策定と実施に期待するとともに、一人一人の区民が実感して取り組むことができるクール・アース・デーなどの企画やアダプト制度や協働の仕組みを活用しながら、緑化・芝生化への積極的な区民参加が広がっていくことが期待されます。都心中央区が環境施策の先進的取り組みを行うことの全国への情報発信力や波及効果も念頭に、果敢に取り組まれることを要望いたします。
福祉では、健康に24時間365日安心して生活すること、どこへでもだれもが安心して出かけられること、安心して産み育てられることを実現するための、さらなる安心福祉のための都心居住モデルを、まちづくり基本条例を活用しながら構築していかねばなりません。
平成10年策定の基本構想でいう都心居住10万人を達成し、今後、「では、定住人口はどこまでの増加を目指すのか」の長期的な見通しを初め、新たな諸課題解決に向け、基本構想の見直しが求められるところでありますが、本区が抱える緊急課題と中・長期課題を見てまいります。
緊急課題としては、1、昨年8月に子育て支援対策本部を立ち上げ、検討が続けられている待機児童解消や幼保一元化、周産期医療体制を初め、子育て支援策のさらなる充実、2、在宅療養支援や認知症対策など取り組みが複雑化している高齢者福祉の充実、3、個々の商店街のビジョンを明らかにしながらの商店街活性化、そして4、来年度策定を行う人材育成基本方針の実効性ある立案や、ボランティアを初め、教育を支える人材の育成、就労に向けた人材の育成など、さまざまな形での人材育成の4つが挙げられ、それぞれ積極的な取り組み方が求められています。
中・長期課題としては、1、新しい施設の整備、2、施設の更新、まちの更新、3、築地市場の移転問題、そして4、地方分権の確立があります。
1、新しい施設の整備では、労働スクエア跡地を活用した京橋図書館の移転、生涯学習拠点の整備や、京橋地区の再開発に伴った環境館や観光館の整備が行われるところですが、幅広く意見を入れた施設整備と、その運営において協働の仕組みも取り入れた区民参加の拡充を期待いたします。
2、施設の更新、まちの更新としては、復興小学校の改築・改修、歌舞伎座の建てかえなどの文化・教育施設の更新や、防災上課題の多い地域のまちの更新があります。さらに、マンション居住が86%となった現状において、世代交代にどう対応するのか。千里ニュータウンではオールドタウン化、すなわち短期間に建設された同質の住宅にほぼ同世代のファミリー層が多量に流入し、親世代が定住を志向する中で、子世代は進学、就業、結婚とともに域外に流出し、結果として夫婦、単身の高齢世帯が多量に発生し、もう一方で住宅、施設が老朽化、陳腐化する現象が言われており、本区でも世代交代に備えた対策を開発の当初から盛り込む必要性があり、まちづくり基本条例がうまく機能することを待ち望みます。
超高層住宅の100年後の建てかえ等の更新においては、現段階で近未来に責任のある施策を実施することは困難でありますが、少なくとも、現在どのような考え方でまちづくりを行ってきたか、その考え方を整理し、後世に伝えていくことが私たちのとるべき最低限の責務であると考えます。公文書館の設置や地域資料室の充実を、京橋図書館の移転にあわせ、求めていきたいところです。その他、まちづくりについて、従来からの課題であるまちづくり協議会改革や、中央区の立体模型ジオラマを設置したまちづくり課題の議論の場の整備も求められるところです。
3、築地市場の移転問題では、中央区及び議会が一丸となって、移転断固反対、現在地再整備の姿勢を貫いています。3月26日現在、都議会でその論議が進められているところですが、ぜひとも築地市場を現在地で再整備を実現し、都民の台所としての機能とともに、築地、銀座、歌舞伎座を一体とした一大観光・商業の拠点整備を求めていきたいものです。将来的には、ゆりかもめの豊洲から新橋への延伸・周回化及び羽田国際空港のハブ機能の進展に連携して、広域的な臨海部一体による発展が期待されます。
4、地方分権の確立では、特区制度改革の取り組みの進展と、協働という新たな形の公共の広がりによる住民自治が確立された結果、到達することを期待しています。
以上、来年度予算執行で注目すべき課題を述べてまいりましたが、最後に、現在の区の行政運営における住民の皆様との合意形成のあり方について、復興小学校改築の例を中心に指摘させていただきます。
健康・衛生環境、防災、学習環境の整備の英知を最大限に結集して関東大震災後に建てられた復興小学校に通う子供たちは、アーチや曲面を多用した表現主義と言われる歴史と伝統、風格あるその学びやにおいて日々情緒豊かに学んでいます。明石小学校に長年勤務したある教師は、「居留地、震災、戦災をくぐり抜けてきたその校舎で学ぶことで自然に歴史を学ぶことができている」と高く評価されておりますし、実際に学校に通う小学生は、今の学校が取り壊されると聞いたときに涙を浮かべ、「お父さん、今の学校はとても楽しいよ」と訴えていたということです。
実際、報道によると、卒業生ら、中央区立明石小学校の保存を望む会、署名298筆、保護者や地域住民の明石小学校改築を考える会、署名1,742筆など、保存を求める署名や、日本建築学会関東支部から復興小学校の保存を求める要望書が出されている段階です。中央区は、改築に向け、手続を踏んでいるということですが、では、なぜ今、これだけの保存を求める声が上がるのでしょうか。手続とは、本来、決定プロセスを明らかにし、区民の権利、利益を守るためにあるはずです。その手続を逆手にとって、手続を経たからという理由で、これだけ多数ある区民の声を無視して本当によいのでしょうか。
さらに、手続自体に問題はなかったのでしょうか。1、平成19年度の学校施設整備基本調査報告書が非開示であること、2、建築学の専門家や学識経験者なしに策定された小学校改築計画策定報告書自体の報告の疑義、3、具体的議論がない中で改築対象校3校の選定がされたこと、4、幅広い事前公告がなされずに開催された改築準備協議会の密室性と同協議会の審議過程の問題点、5、改築に関連した地元への説明会の開催のおくれなど、その手続において多くの問題点が挙げられます。
現在、全国各地で行政の方針に対し、合意形成を得る段階で、問題意識を持つ住民のさまざまな声が上がっているところであります。復興小学校改築予算の執行の是非を司法判断にゆだねることに発展する前に、どうか地域住民、保護者、卒業生、日本建築学会ら関係者と十分な合意形成を持つべきであると考えます。合意形成を得ることの重要性は、区内他地域の再開発問題や歩行環境整備に関してなど、区の諸課題すべてに当てはまります。
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