(演習9 2014.7.9)
1 コンピューターのソフトウェア(以下「ソフト」という)は、かつてソフト開発業者が開発したものを一般消費者が選んで購入していたが、現在では、コンピューターメーカーが、ソフト開発業者からソフトを購入し、あらかじめ、コンピューターに搭載する「同梱」という形態が一般的になっている。
ソフト販売会社A社は、コンピュターメーカーに対し、A社製の表計算ソフトを購入する場合は、A社製のワープロソフトを合わせて購入するよう要請した。
A社製の表計算ソフトは、他に競争品はなく、コンピューターメーカーにとっては必需品で、これを同梱しないわけにはいかなかった。
コンピューターメーカーは、それまではB社製ワープロソフトを購入し同梱ししていたが、A社の上記要請を踏まえ、B社製ワープロソフトに代えてA社製のワープロソフトを購入することにした。
その結果、B社製ワープロソフトの売上高は急減した。
回答:
○A社の行為が抱き合わせ販売(2条9項6号に基づく一般指定10項)にあたるかを問われている。
○抱き合わせ販売とは、相手方に対し、不当に商品の供給に併せて他の商品を自己から購入するように強制することをいう。
○本件では、A社は、相手方コンピューターメーカーに対し、自己の計算ソフト(強い製品)の供給に合わせて、A社のワープロソフト(弱い製品)を購入するように要請しており、要請を受けたコンピューターメーカーは、A社製表計算ソフトが必需品で、買うほかに選択の余地がなかった。
行為の外形は、抱き合わせ販売に該当する。
○抱き合わせにより、コンピューターメーカーの顧客の商品選択の自由が減少し、結果、B社製のワープロソフトが排除され、売上が急減することになっており、公正な競争を阻害されている。
○一般指定10項に該当し、19条違反である。
*シェアが大きいと、私的独占(2条5項)の問題にも該当する。一定の取引分野:ワープロソフト。
参考:マイクロソフト事件、一太郎問題
2 エレベーターは、ビルを建設する際、エレベターメーカー(以下「メーカー」という)によって設置される。エレベーターの定期的な保守点検業務や故障した場合の修理業務は、メーカーの系列会社(以下「系列会社」という)に任せる建物所有者が多い。
しかし、独立系の保守業者(以下「非系列会社」という)の従業員は、元メーカーや系列会社の従業員であった者が多く、技術力は系列会社の従業員と遜色ないこと、また、代金が系列会社よりも安いことから、非系列会社と取引する建物所有者も少なくない。
非系列会社Cは、自分が保守管理するエレベーターが故障したため、このエレベーターを設置したDメーカーに修理に必要な部品を注文した。しかし、Dメーカーは、「その部品は、在庫がなく、3カ月後にならないと納入できない」と回答した。
この旨をCから聞いた建物所有者Eは、「エレベーターが3ヶ月も動かないのでは困る」として、Cとの保守管理契約を解除するとともに、直接、Dメーカーに対して部品を供給してくれるよう要請した。これに対しDメーカーは、「部品をすぐ供給して欲しかったら当社の系列会社に保守点検業務も任せてもらいたい」と回答した。
Eは、これを断り、このビルを建設したゼネコンをつうじてDメーカーに部品を供給してくれるよう依頼した。Dメーカーは、これに対応してすぐEに部品を供給した。
回答:
1 取引妨害
○D社の行為が、秘系列会社に対する行為が、競争妨害(一般指定14項)が問題である。
○自己や自己が役員となっている会社と競争関係にある事業者とその取引の相手方との取引について、取引を不当に妨害することをいう。
○本件では、系列会社がD社が株主なら要件に該当し、秘系列会社と、相手方建物所有者との取引の不履行を誘引している。
○部品の供給を不当に遅らせ、系列会社と非系列会社の競争を減殺し、公正競争を阻害している。
○一般指定14項に該当し、19条違反である。
2 抱き合わせ販売
○一般指定10項が問題である。
○本件では、Dメーカーは、建物所有者に、エレベーター部品の供給にあわせて、Dメーカーの系列会社の保守点検業務について自己の指定することを強制しており、外形は、抱き合わせに該当する。
○建物所有者の取引選択の自由を奪い、非系列会社を排除されており、公正競争を減殺している。
○一般指定10項に該当し、19条違反である。
3 大規模小売業者Fは、新規に出店した店舗のオープニングセールに際し、商品陳列等の作業をさせるため、納入業者に対し、従業員等の派遣を要請した。
また、Fは、オープニングセールで値引き販売し、納入業者に責任がないのに、その値引き分を納入業者に負担させている。
さらに、Fは、オープニングセール協賛金として、納入取引額に一定率を乗じた額を提供させている。
なお、要請を受けた納入業者は、今後の取引の継続を考慮し、Fの要請に応じている。
回答:
○2条9項5号優越的地位の濫用が問題である。
○優越的地位の濫用
1 取引上の地位が相手方に優越している
2 正常な商慣習に照らして不当に
3 ロ 継続取引先に経済上の利益を提供させる
ハ 相手方に代金減額
本件では、
1 大規模講義業者Fが
2 正常な商慣習に照らして不当に
3 ロ 商品陳列などの作業をさせるため、従業員の派遣
ロ 納入取引額に一定率を乗じた額を提供させている
ハ 納入業者に責任がないのに、その値引き分を納入業者に負担させている
○納入業者にとって、正常な商慣習に照らして、不当であって、今後の取引の継続のため余儀なくされており、自主的判断を妨げられており、公正競争阻害性がある。
○2条9項5号に該当し、19条違反
以上
********今後、回答書きます。*******************
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1 資本金15億円の建設業者であるA社は、平成20年4月1日以降、同業のB(資本金10億円)、C(同8億円)、D社(同1億円)とともに、甲市が指名競争入札により発注する建設工事について、受注予定者を決定し受注予定者以外の者受注予定者が受注できるように協力する行為(以下「入札談合」という)を行ってきた。
しかし、A社は、入札談合に対する社会的非難の増大に対処するため、首脳の指示により、平成23年10月15日以降、入札談合から離脱するとともに、平成24年1月4日、公正取引委員会に課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を提供した。
公正取引委員会は、平成24年3月31日、A社の情報提供に基づいて立ち入り検査を行った。B社は、�CD社と話し合って入札談合をとりやめるとともに、�課徴金減免制度を利用して入札談合に関する情報を公正取引委員会に提供した。
なお、平成20年4月1日から平成24年3月31日までの4年間における、4社の甲市からの建設工事受注(契約)額は、それぞれ、以下のとおりである。
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
A社 20億円 15億円 22億円 18億円
B社 10億円 15億円 12億円 16億円
C社 5億円 7億円 8億円 5億円
D社 2億円 1億円 2億円 1億円
ただし、A社の平成23年度分のうち8億円は平成23年10月15日以降の入札分である。
ABCD4社のそれぞれの課徴金額を、契約基準に基づき、算定の根拠と総額を示しなさい。
2 大規模小売業者のE社は、約100社の納入業者から商品を継続的に仕入れている。
E社は、新規店が行うオープニングセールに際し、納入業者に対し、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間、以下のことを要請していた。
ア 顧客誘導係として従業員を派遣すること。
イ 通常の仕入れ価格から一律30%相当額を仕入れ金額から差し引くこと。
これら要請を受けた納入業者は、E社との今後の取引の継続を行う立場上、これら要請を受け入れることを余儀なくされていた。
なお、平成23年5月1日から平成24年4月30日までの間のE社と納入業差との取引額は100億円に上る。
E社の課徴金額について、算定の根拠と総額を示しなさい。
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