ハンドルのあそび、ブレーキのあそびという言葉があるように、遊びは、無駄だが、なくてはならないものです。
遊びがあって、子ども達は、心や体が発達していくのです。
遊びを、心の発達と関連付けて分析して行きます。
【1】遊びとは何か
人間は、ホモ・サピエンス、「知識をもつ類」という言い方とともに、ホモ・ルーデンス、「遊びをする類」という言い方も成り立ち、知識と遊びの両者を身につけていくことは、人間の本質である。
ヨハン・ホイジンガは、その著書『ホモ・ルーデンス』(1938年、邦訳・中公文庫)で、「遊びとは、あるはっきり定められた時間、空間の範囲内で行われる自発的な行為もしくは活動である。それは自発的に受け入れた規則に従っている。その規則はいったん受け入れられた以上は絶対的拘束力をもっている。遊びの目的は行為そのもののなかにある。それは緊張と歓びの感情を伴い、またこれは『日常生活』とは『別のもの』をという意識に裏づけられている。」と述べ、遊びを定義している。
ロジェ・カイヨワも、『遊びと人間』(1958年、邦訳・講談社文庫および岩波書店)において、ヨハン・ホイジンガとほぼ同様に、遊びについて以下の6点の特徴ををあげて、述べている。
①自由な活動;すなわち、遊戯者が強制されないこと。もし強制されれば、遊びはたちまち魅力的な愉快な楽しみという性質を失ってしまう。
②隔離された活動;あらかじめ決められた明確な空間と時間の範囲内に制限されていること。
③未確定の活動;ゲーム展開が決定されていたり、先に結果がわかっていたりしてはならない。創意の必要があるのだから、ある種の自由が必ず遊戯者側に残されていなくてはならない。
④非生産的活動;財産も富も、いかなる種類の新要素も作り出さないこと。遊戯者間での所有権の移動をのぞいて、勝負開始時と同じ状態に帰着する。
⑤規則のある活動;約束事に従う活動。この約束事は通常法規を停止し、一時的に新しい法を確立する。そしてこの法だけが通用する。
⑥虚構の活動;日常生活と対比した場合、二次的な現実、または明白に非現実であるという特殊な意識を伴っていること。
【2】遊びの種類・分類
遊びは、遊戯者数、遊び空間、性・年齢などにより、分類することが出来る。
①遊戯者数による分類
一人遊び、
平行遊び、
役割遊び、
集団遊び、
②遊び空間による分類
外遊び、室内遊び
辻遊び
③性や年齢による分類
女の子が好きな遊び:おはじき、お手玉
男の子が好きな遊び:こま回し
④カイヨワによる分類
ロジェ・カイヨワは、遊びの構造や、質から大きく分けて、4種類の遊びに分類()アゴン(競争)、)アレア(運)、)ミミクリ(模擬)、)イリンクス(めまい))。
それぞれに、単なる「遊戯」として、騒ぎ、はしゃぎから、規則・様式・複雑さ・洗練などが整い「競技」性の度合いが強まるまでの幅で、分類している。
以下に、4種類のそれぞれにおいて、遊戯性から競技性が強まる順に列挙する。
)アゴン(競争)
取っ組み合い→かけっこ・おにごっこ→剣玉・こま回し・お手玉・腕相撲→サッカー、野球、バスケなど→将棋、チェス、囲碁など
)アレア(運)
じゃんけん→すごろく→パチンコ・宝くじなど
)ミミクリ(模擬)
まねっこ→ままごと・学校ごっこ、人形遊び→仮面・仮装→演劇
)イリンクス(めまい)
ぐるぐるまい→ブランコ、シーソー→メリーゴーランド→ダンス→スキー、スケート、バイクなど
実際の遊びでは、少なからず要素の複合がありうる。トランプ、麻雀などでは特に。
【3】子どもの成長発達と遊び
ジャン・ピアジェは、『遊びの心理学』(大伴茂訳、黎明書房)などで、発達と遊びの関係を述べている。
①乳児期の遊び
乳児期の遊びは、「機能の遊び」叉は、「単なる実践の遊び」と言われます。ひとやものの外界とのやりとりをし、つかめるようになったり、すわれるようになったり、たてるようになったり、あるけるようになったり、できないことが、できるようになっていく過程です。この過程では、それら機能が、出来ること自体が楽しくて、またそれら機能を使っている感覚(内臓や筋肉の感覚)自体が、心地よくて、その機能を繰り返し行って遊びます。自分の体の働きを楽しんでいます。繰り返し機能を使って、その機能がうまく使えるようになっていくのです。
外界のやりとりの中で、ひと特に、母親とのやりとり(情動的感情交流)がとても大事で、それがこころの土台となって行きます。母親と愛着形成がなされます。
②幼児期の遊び
幼児期の遊びは、「象徴の遊び」といいます。ごっこ、模倣、想像、虚構を通した遊びです。例えば、葉っぱをお皿に象徴して遊んだり、学校ごっこ、家族ごっこなどのごっこ遊びをします。
象徴することで、やがて記号なども使えるようになる知識の習得の土台となります。
一人遊びであったものが、並行遊びとなり、役割遊びとなっていき、象徴を共有し、他人との関係作りを行っていきます。人間関係の基礎をつくっていきます。
ごっこ遊びの中で、電車の車掌やテレビのヒーローなどの憧れの役になり、満足を得たり、赤ちゃん役になって、敵意・嫉妬の感情などいやな感情をはき出し、すっきりします。(カタルシス、浄化)
③児童期の遊び
ひとつは、「ルールのある遊び」をします。ルールをつくることで、公平に関係を結びます。遊びは、競技・競争の意味合いが強まっていきます。ルールを守ることで、自己中心性から脱皮していきます。
ルールを敢えて設け、それに縛られながら、不安や期待を操って、快感も得ています。感情をコントロールしていくことも覚えていきます。
競技・競争の色合いから、体の力やしなやかさが必要にもなってきます。
もうひとつは「構成の遊び」です。「工作遊び」といいます。「歪曲したルーデチィックナ模倣」から「実在のまっすぐな模倣へ」と言われ、より精緻な模倣を目指します。本物に出来るだけ近いプラモデルを楽しむようなことです。
④思春期・青年期の遊び
これまでの時期の遊びからは脱皮し、スポーツ活動、文化活動を「趣味」として楽しみます。
この活動を通し、交友・友情などより深い人間関係を築いていきます。
【4】現代の子どもの育ちと遊びの文化
以下の特徴が挙げられる。
①遊び文化の商品化と消費文化
②学力競争の圧力
③遊びの創造と伝承のサイクルの崩壊
④子どもの孤立化と虚構の肥大化、欲望の肥大化
【5】子どもの育ちと遊びにどう係るか
①子どもの遊びへの理解と共感
②遊びの環境作りと支援
************
第2回「子どもの心の診療医研修会」(08/09/21)での須藤俊昭教授(大東文化大学文学部教育学科)の講演をもとにして。
遊びがあって、子ども達は、心や体が発達していくのです。
遊びを、心の発達と関連付けて分析して行きます。
【1】遊びとは何か
人間は、ホモ・サピエンス、「知識をもつ類」という言い方とともに、ホモ・ルーデンス、「遊びをする類」という言い方も成り立ち、知識と遊びの両者を身につけていくことは、人間の本質である。
ヨハン・ホイジンガは、その著書『ホモ・ルーデンス』(1938年、邦訳・中公文庫)で、「遊びとは、あるはっきり定められた時間、空間の範囲内で行われる自発的な行為もしくは活動である。それは自発的に受け入れた規則に従っている。その規則はいったん受け入れられた以上は絶対的拘束力をもっている。遊びの目的は行為そのもののなかにある。それは緊張と歓びの感情を伴い、またこれは『日常生活』とは『別のもの』をという意識に裏づけられている。」と述べ、遊びを定義している。
ロジェ・カイヨワも、『遊びと人間』(1958年、邦訳・講談社文庫および岩波書店)において、ヨハン・ホイジンガとほぼ同様に、遊びについて以下の6点の特徴ををあげて、述べている。
①自由な活動;すなわち、遊戯者が強制されないこと。もし強制されれば、遊びはたちまち魅力的な愉快な楽しみという性質を失ってしまう。
②隔離された活動;あらかじめ決められた明確な空間と時間の範囲内に制限されていること。
③未確定の活動;ゲーム展開が決定されていたり、先に結果がわかっていたりしてはならない。創意の必要があるのだから、ある種の自由が必ず遊戯者側に残されていなくてはならない。
④非生産的活動;財産も富も、いかなる種類の新要素も作り出さないこと。遊戯者間での所有権の移動をのぞいて、勝負開始時と同じ状態に帰着する。
⑤規則のある活動;約束事に従う活動。この約束事は通常法規を停止し、一時的に新しい法を確立する。そしてこの法だけが通用する。
⑥虚構の活動;日常生活と対比した場合、二次的な現実、または明白に非現実であるという特殊な意識を伴っていること。
【2】遊びの種類・分類
遊びは、遊戯者数、遊び空間、性・年齢などにより、分類することが出来る。
①遊戯者数による分類
一人遊び、
平行遊び、
役割遊び、
集団遊び、
②遊び空間による分類
外遊び、室内遊び
辻遊び
③性や年齢による分類
女の子が好きな遊び:おはじき、お手玉
男の子が好きな遊び:こま回し
④カイヨワによる分類
ロジェ・カイヨワは、遊びの構造や、質から大きく分けて、4種類の遊びに分類()アゴン(競争)、)アレア(運)、)ミミクリ(模擬)、)イリンクス(めまい))。
それぞれに、単なる「遊戯」として、騒ぎ、はしゃぎから、規則・様式・複雑さ・洗練などが整い「競技」性の度合いが強まるまでの幅で、分類している。
以下に、4種類のそれぞれにおいて、遊戯性から競技性が強まる順に列挙する。
)アゴン(競争)
取っ組み合い→かけっこ・おにごっこ→剣玉・こま回し・お手玉・腕相撲→サッカー、野球、バスケなど→将棋、チェス、囲碁など
)アレア(運)
じゃんけん→すごろく→パチンコ・宝くじなど
)ミミクリ(模擬)
まねっこ→ままごと・学校ごっこ、人形遊び→仮面・仮装→演劇
)イリンクス(めまい)
ぐるぐるまい→ブランコ、シーソー→メリーゴーランド→ダンス→スキー、スケート、バイクなど
実際の遊びでは、少なからず要素の複合がありうる。トランプ、麻雀などでは特に。
【3】子どもの成長発達と遊び
ジャン・ピアジェは、『遊びの心理学』(大伴茂訳、黎明書房)などで、発達と遊びの関係を述べている。
①乳児期の遊び
乳児期の遊びは、「機能の遊び」叉は、「単なる実践の遊び」と言われます。ひとやものの外界とのやりとりをし、つかめるようになったり、すわれるようになったり、たてるようになったり、あるけるようになったり、できないことが、できるようになっていく過程です。この過程では、それら機能が、出来ること自体が楽しくて、またそれら機能を使っている感覚(内臓や筋肉の感覚)自体が、心地よくて、その機能を繰り返し行って遊びます。自分の体の働きを楽しんでいます。繰り返し機能を使って、その機能がうまく使えるようになっていくのです。
外界のやりとりの中で、ひと特に、母親とのやりとり(情動的感情交流)がとても大事で、それがこころの土台となって行きます。母親と愛着形成がなされます。
②幼児期の遊び
幼児期の遊びは、「象徴の遊び」といいます。ごっこ、模倣、想像、虚構を通した遊びです。例えば、葉っぱをお皿に象徴して遊んだり、学校ごっこ、家族ごっこなどのごっこ遊びをします。
象徴することで、やがて記号なども使えるようになる知識の習得の土台となります。
一人遊びであったものが、並行遊びとなり、役割遊びとなっていき、象徴を共有し、他人との関係作りを行っていきます。人間関係の基礎をつくっていきます。
ごっこ遊びの中で、電車の車掌やテレビのヒーローなどの憧れの役になり、満足を得たり、赤ちゃん役になって、敵意・嫉妬の感情などいやな感情をはき出し、すっきりします。(カタルシス、浄化)
③児童期の遊び
ひとつは、「ルールのある遊び」をします。ルールをつくることで、公平に関係を結びます。遊びは、競技・競争の意味合いが強まっていきます。ルールを守ることで、自己中心性から脱皮していきます。
ルールを敢えて設け、それに縛られながら、不安や期待を操って、快感も得ています。感情をコントロールしていくことも覚えていきます。
競技・競争の色合いから、体の力やしなやかさが必要にもなってきます。
もうひとつは「構成の遊び」です。「工作遊び」といいます。「歪曲したルーデチィックナ模倣」から「実在のまっすぐな模倣へ」と言われ、より精緻な模倣を目指します。本物に出来るだけ近いプラモデルを楽しむようなことです。
④思春期・青年期の遊び
これまでの時期の遊びからは脱皮し、スポーツ活動、文化活動を「趣味」として楽しみます。
この活動を通し、交友・友情などより深い人間関係を築いていきます。
【4】現代の子どもの育ちと遊びの文化
以下の特徴が挙げられる。
①遊び文化の商品化と消費文化
②学力競争の圧力
③遊びの創造と伝承のサイクルの崩壊
④子どもの孤立化と虚構の肥大化、欲望の肥大化
【5】子どもの育ちと遊びにどう係るか
①子どもの遊びへの理解と共感
②遊びの環境作りと支援
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第2回「子どもの心の診療医研修会」(08/09/21)での須藤俊昭教授(大東文化大学文学部教育学科)の講演をもとにして。
全国各地で9月定例市議会が始まっていますけど
毎日ご苦労様です。
さて、半年間観てきましたNHK朝の連続小説「瞳」いよいよ今週で最終回と言うことですけど
はじめて築地・月島の町をみてきれいだなあと思いました。
私は、風景の写真を撮るのが好きなので一度月島の風景を撮って見たいですね。
今週は、3年に一度の住吉神社の例大祭の様子が流れるので、はじめて築地のお祭りを見ることができます。
こうやって築地でこのドラマが撮影されたことで観光客が増えているのではないでしょうか?
今週は、見逃さないように観たいと思います。
朝夕だんだんと涼しくなりました。
季節が変わる頃に体調を崩しやすいので
お体には気をつけて頑張って下さい。
いつも応援しています。