先日、あるところで管理職研修の機会があって話をさせてもらいました。
「管理職」などと言いながら、職場はいまや「管理」するものではなく「マネジメント」をするのだ、ということがよく言われるようになりました。
確かに、人材、組織、時間、予算などの資源の配分を考えながら、目標成果を上げるのが組織のマネジメントですが、言うは易く、それでいてなかなか何をすればよいのかがわかりにくいところです。
私は組織のマネジメントを、「意志」×「能力」×「関係力」だと思っています。
意志とは「やる気」のこと。心を奮い立たせて目標に向かって立ち向かう強い心をいかに養うかということ。
能力とは、スキルや経験、判断力、人脈などの持っている資産・財産を高めるということ。これらは学習や経験によって身に着くものですが、それには長い時間がかかります。
そして関係力とは、組織の中での互いの関係を良く保っているという状態のこと。
これらの三つの力を自分自身がいかにつけ、部下や周りにいかにもってもらうか、ということが組織をマネジメントするうえで大切なのだと思うのです。
◆
管理職はチームのリーダーでもあるわけですが、リーダーとしての振る舞い方も問われます。
かつては「俺に着いてこい」「着いてこない奴は置いてゆく」というような、管理・命令型の親分的なリーダー像が一般的でしたが、やがて共に悩み共に支え合う横並びのリーダー像が登場しましたが、さらに一歩進んで、アメリカのR・グリーンリーフ教授は「サーバントリーダー」というリーダー像を提唱しています。
"サーバント"とは「召使い」という意味で、上からでも横からでもなく、「部下を支えるためにリーダーは存在する」と考えるあり方です。
他者に対する思いやりの気持ちや奉仕の行動を念頭において、他者に奉仕することでチームの信頼を得て、目指す方向へ導きやすくするというリーダー像。
実際にはこれらの三つのリーダー像を臨機応変に組み合わせながら組織運営を行うことになるのでしょうが、固まったリーダー像に固執しない方が良いと言えると思います。
◆ ◆ ◆
さて、ここのところJR北海道での車両や保線の管理不行き届きが次々に明らかになって、世間の批判を招いていますが、その原因の一つに、民営化された当初に新規採用を抑制したために、若手がおらず現場管理のノウハウが継承されていないのではないか、という指摘があります。
JR北海道における実際のところはさておき、それが私の職場も含めて問題だ、という意識が高まっています。
国家公務員の世界も総人件費改革の流れの中で新規採用は抑制され、定年退職も配置転換などで補うとされて今日に至っています。
新規採用の若手がいないとどういうことになるかというと、課の中の職員の一番年下でも皆部下のいない係長クラスと言うことになります。
管理職の皆さんは口をそろえて、いまの仕事をする体制に不安はあまりない、と言います。
それは、仕事を任せても大丈夫な人たちばかりだからという安心感である反面、自分の仕事はできるものの部下を育成した経験がない人たちばかりになるという不安もあります。
今後10年後に今いる管理職クラスの経験者がどんどん退職していった後に、後輩を育成するだけの力が育っているのかどうかが不安です。
しかし、それを現実のものとしないように、今から対策を考えておかなくてはなりません。
組織運営の大変さは古今東西変わりませんね。