未来のことはなかなか推し量れないものですが、かなり正確に分かる未来の1つが人口の将来推計です。
日本の人口は平成20年の、1億2千8百万人をピークにして減少を始めました。日本人がなかなか結婚をしなくなったり、かつてのように何人もの子供を生むような家族スタイルをとらなくなったりした現状からは、今後人口が増加することは望めず、確実に我が国の人口は減少の一途をたどることでしょう。
人口が減少することを悲観するか楽観するかは、それぞれの価値観に負うところが大きいのですが、悲観的な見方をする向きが多いでしょう。
著作・講演活動に精力的な活動をされている日本政策投資銀行の藻谷浩介さんは著書「デフレの正体」のなかで、15~64歳の生産年齢人口と呼ばれる『お金を使ってくれる現役世代』が減少していることが内需縮小の最大の要因だ、と指摘しています。
経済を消費の面で考えると、「お金を使う人口」が減ると消費がされなくなるのでデフレになるのだ、というのはある程度うなずけます。
しかし消費する人口だけではなく、社会を支える人口としてみると、もう一つ「労働力人口」という指標があります。こちらは、「15歳以上の者で、実際に働いている人と、働きたいと希望し求職活動をしているが仕事についていない、いわゆる完全失業者の総数」のこと。
生産年齢人口と違うのは、こちらではカウント外の65歳以上でも実際には2割は働いていることで、こういう人たちは社会保険を支払って年金などを支える側であり、かつまた社会で求められる労働力として社会を支えている数と言えるのです。
もちろんこの数も国全体の人口減少と共に次第に減少していきます。
厚生労働省人口問題研究所の資料では、2007年から2025年にかけて、生産年齢(15~64歳)人口は約15%減少し、労働力人口も約5~13%程度減少すると見込まれるとされています。
労働力人口は、生産年齢人口よりは急激には減らないと予想され、もうしばらくは社会を支えてくれますが、もちろん少子高齢化によってその中身は、数の減少に加えて高齢化が進んだり女性が増えてゆくというように質的にも変化してゆきます。
これを我々が携わっている公共インフラの世界で考えると、管理する道路延長や樋門やダムの数が減ることはない一方、社会の労働力は減ってゆくわけですから、つまりはより少ない人間で、公共インフラを管理して行かなくてはならない社会が来るという事になります。
今ですら既に地方では機械類のオペレーターの高齢化と人員の確保に悩まされているわけで、この傾向がさらに続くということです。
この矛盾を解決するのは当然ながら効率化にほかなりません。そして効率化は機械力でもってそれを果たしてゆかなくてはならないのです。
10時間かかった作業を9時間でできれば1割の効率化ができたことになります。そのために除雪機械にはどのような技術開発が必要でしょうか。
女性や高齢者のオペレーターでも楽に作業ができるための技術開発、二人でやる作業を一人でやれないか、人がいなくても遠隔操作や自動でできないかなどなど、まだまだ効率化のためにできることは多いはず。
決して現状を守るだけではなく、後の世代のために今我々が工夫しておくべきことは山積しています。
人口の変動と共に、私たちの社会は否応なく機械力の効率化と技術開発を進めない限り維持することができない社会になるでしょう。
機械の力が社会に貢献すべき領域はまだまだ広くて多いのです。日々誇りを持って、来るべき社会のために地道にがんばっていこうではありませんか。