かねてより話題にしていた、より精細な降雨観測レーダー「XバンドMPレーダー(通称:XRAIN)」がいよいよ明日9月5日から北広島市からのデータ配信を行います。
これは近年北海道においても集中豪雨や局所的なゲリラ豪雨が発生していることから、河川管理や防災活動に役立てるために北海道開発局で整備したものです。
従来北海道では、1000m級の4つの山頂、すなわち、函岳(美深町)、乙部岳(乙部町)、ピンネシリ(新十津川町)、霧里山(釧路市音別町)でCバンドと呼ばれる帯域でのレーダーで雨雲の観測をしていました。
これは広範囲に雨雲を観測できるのですが、1000m級と高い位置での雨雲の観測であり、そこから下に本当に雨が降っているかどうかは実はよく分からないものでした。
それが今回、北広島に設置されたXバンドMPレーダーでは、地上すれすれの雨粒を観測することから、実際に降っている雨を観測でき、さらに、観測の頻度や分解能が大きく向上しています。
その優れた性能とは、2種類の偏波(水平・垂直)を送信することで、雨粒の形状等を把握し、雨滴の扁平度等から雨量を推定するというもの。
雨粒は小さいときは丸いのですが、大粒になると肉まんのように扁平になるのでその様子を観測することで雨の量がわかるというのです。
また、救急車が通り過ぎるときに高かったサイレンの音が低くなる現象をドップラー効果と言いますが、それを利用して雨がどちらへ移動しているかも観測できます。
さらに、Cバンドレーダーでは配信に要する時間が5~10分だったものが、1~2分程度に高頻度になり、また観測できるメッシュが1kmメッシュから250mメッシュと16倍に改善されています。
今年の春先に北広島市の防災ステーションに設置されて、観測を続けていましたが、この間、観測で捉えられた値と地上で実際に降っている雨とを整合させるためのパラメーター調整をずっと行ってきたもの。
そして今般、その調整が終了したことから、明日9月5日の14時からデータ配信が行えることとなりました。
今回は関東から東北にかけての7基と共に、全国で8基がデータ配信を開始しますが、これで人口の多い平野部のかなりの部分をカバーできることになり、詳細な気象変化状況の把握と精緻な予報が可能になることでしょう。
高性能のXバンドMPレーダーですが、弱点は電波の性質として、強い雨を観測するとそこで電波が反射して帰ってきてしまうのでその先が分からないということ。
そのため、このシステムは雨を挟み撃ちにする位置に同じレーダーを配置して、補完する形を取ることで精度を上げる必要があります。
本州方面ではレーダー網が網状に配置されているので、そうした補完体制ができていますが、北海道は今回の北広島基に続いて、来春石狩川河口周辺にもう一台を配置して補完体制を確立することにしています。
今回のレーダーで石狩平野を中心とする61市町村のエリアがカバーできるということなので、石狩周辺の高精度な天気予報ができるよう期待されます。
データ画像はインターネットを介して下記サイトで配信されますので、出先のスマホでも取得することができます。
どうぞアウトドア活動での情報収集に役立ててください。
目指せ、情報大国日本!
【XRAIN雨量情報】 http://www.river.go.jp/xbandradar/index.html