タバコは吸わないけれど、タバコを吸う人のことは『嗜好の問題』だと思っている私。
先日、大のタバコ好きの知人と久しぶりにお酒を飲みました。
相変わらずタバコをスパスパと吸っているので、「相変わらずやめられないんですね」と言うと、「いや、止めようと努力はしているんだ」と言います。
彼が指差したのは、タバコの吸い口につけるプラスチック製のパイプ。
「何です?ニコチンを少なくする健康パイプじゃないんですか?」と訊くと、「違うよ、これは『離縁パイプ』というタバコを止めるための道具なんだ」とのこと。
話を聞くと、全部で一か月分で31本のパイプがセットになって1万円以上もするタバコを止めるためのキットなんだそう。
これが初日はNO.1のパイプでタバコを吸い、二日目はNO.2のパイプ、三日目はNO.3のパイプ…と、一日経つごとに次の番号のパイプに替えてゆくのだそう。
このパイプの秘密は、パイプの側面に小さな穴が開いていて、しかもその穴がだんだん大きくなり、煙に対して空気が入る仕掛けになっているのだそう。
パイプ無しを100とすると、パイプを替えるごとに3%ずつ杯に入る煙の量が減って行き、NO.31になるとなんと95%もの煙が減っていて、同じ本数のタバコを吸っていても知らず知らずのうちに体に入るニコチンの量が減り、ついにはタバコがなくてもよくなる、という仕掛けなんだそう。
仕掛けは興味深いものですが、随分お値段も高いよう。
「タバコを止めるんだったらニコチンパッドを貼って、体内に別な形でニコチンを入れることでタバコを要らなくする治療法もあると聞きましたが」
「いや、それだと、どうしても口がさみしくてタバコを吸わずにはいられない人だとニコチン過多になってかえって悪いらしいんだ。だからこうやって口をごまかしながら体内に入るニコチン量を激減させてタバコを止めてやろうと思っているのさ」
「なるほど~、それでその成果はいかがですか?」
「うん、体調が良くなってものの匂いが分かるようになったし、体重も増えたよ」
「でも最後のところでタバコを手放すことはできないんですか?」
「うん、実はNO.31のパイプだけは何本かセットになったのを別売りで買えるんだ。そこでもうNO.31で三年くらい吸っているよ(笑)」
最後の一言で爆笑でしたが、それでも体内に入るニコチン量は格段に減っていて、最初のころは1mgのタバコなんて馬鹿にしていたのが、今ではそれだとむせてしまうというくらいに煙を体に入れないのが当たり前になったそう。
人間の体はゆっくりとした変化にはなれることができるんですね。
◆ ◆ ◆
地方自治体にとってはタバコ税は売れた地域に入る大変ありがたい地方税。
健康などへの害は最小にとどめて、税金を納めてくれる愛煙家は大切な存在です。
すごいアイディアに感心しつつ、禁煙努力をする皆さんの成功を祈るのでした。