中頓別での最後の一日。お約束のアクティビティはペーチャン川での「砂金堀体験」です。
お隣の浜頓別町にあるウソタンナイ川も砂金の掘れる川として良く知られていますが、つまりは上流の北見山地が金の算出の元ということ。鴻ノ舞(こうのまい)など教科書にも載っているような有名な金山もありましたね。
ペーチャン川の砂金堀体験上は、川筋が左に大きくカーブする内側にあります。砂金は比重が大きいので、川の内側に溜まる傾向にあるので、こういう地形は砂金が溜まりやすいというわけです。
さらに川土の下の方に沈んでゆくので、砂金堀は川のできるだけ下の泥をすくってそれを篩にかけ、溝のついたお皿で回しながら石や砂を遠心力で洗い流します。
どんどん流してゆくと最後は重い砂鉄が多くなりますが、その中に砂鉄よりもさらに重い金の粒があればそれが残るというわけです。
その一粒も本当に小さな粒で、何度かのトライアルの末にようやく一粒が見つかるかどうか、というくらいの確率。欲に目がくらんでいなくても、何時間も挑戦しなくては量は取れません。我々は約一時間で四粒みつけましたが、砂金堀は確率の低い挑戦でした。
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現地の管理小屋には管理人さんが一人いて、体験希望者にクワや洗い皿を貸し出したり砂金の掘かたを教えてくれたりしています。
長靴も貸してくれるということだったので足のサイズを合わせて借りようとしたところ、「お貸ししている長靴なんですが…」「はい?」「ここにあるのは経年劣化をしておりまして…」「はい」「ほぼ百パーセントの確率で穴が開いております」
「え?どれもですか?(笑)」「はい、ほぼ確実に水が入りますのでご容赦ください」
砂金がみつかる確率は非常に低いのに、借りた長靴に水が入る確率はほぼ百パーセント。実際、長靴を借りたわが家族は全員水が入りました(笑)
ちなみに私はこのことを一切批判的に思いません。かえって旅の思い出としてとても面白い体験でした。まあウェーダーや長靴を持参できる人は持ってくるに越したことはありませんが。
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ところで、管理小屋には大きなツーリングバイクが置いてあって、(遠くのライダーが砂金堀に来ているんだなあ)と思っていたところ、「これ、実は私のバイクなんです。高知から三ヶ月道内を旅していて、その途中でここで一か月砂金堀の管理人をしています」とのこと。
聞けば金融機関勤めをリタイアして、好きなバイクに乗り夏は気ままな道内旅行を趣味にしているのだそうで、二年に一度はここ中頓別で夏の砂金堀管理人をしており、もう四度目になるんですって。
夏場のたった一か月の仕事なんて不安定でなかなかやってくれる人がみつかりにくいものですが、リタイアした旅人に地域の仕事を担ってもらうというというのは実に興味深い関係性だと思います。
人柄も面白い方で、客あしらいも上手。まさにこういうところの管理にぴったりの方でした。この方と話しているだけでも価値ある時間でしたよ。
中頓別町のペーチャン川、どうぞ一度お試しあれ。