早朝のカラフトマス釣り。風が東風でオホーツクの海岸ではまともに波を受ける向かい風。早い時間帯ではにごりも入って、コンディションは良いとは言えません。
この時期の鱒は、真水の川に入って産卵をするという本能に導かれて真水に入ろうとするのですが、母川回帰性がそれほど強くないので、とにかく刺し水があればそこに誘われて集まってくるという習性があるのだそう。
潮の加減と濁りなど微妙なバランスのなかで、鱒が群れながら川へ上がってくると最高の釣り条件になるのですが、今日は難しい日和となりました。
朝四時から釣り始めて、周りには釣り人が二十人くらいいましたが、カラフトマスを釣り上げたのはせいぜい数人。ちょっと魚の薄い朝でした。
悔しいので朝飯は鮭のおにぎり。ちょっと残念ですが。
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海釣りの後は馴染みの川へ入ってヤマベ釣り。新しいポイントの開拓です。
枝幸の浜から歌登の渓流、そして中頓別の渓流というのは稚内から見れば釣りのゴールデントライアングルです。
最後に入った中頓別の川では、今年生まれの小さなヤマベばかりがかかってきます。それなりに楽しめるのですが、大物釣りの豪快さはありません。
最初のうちはヤマベ用に、蟻に似せたフライを多用して釣りを楽しんでいたのですが、一度上流へ釣り上がりその後に釣り下ってきた途中で、行きの時も気になっていた大きなドン淵に戻ってきました。
行きの時はフライを入れてみても全く反応がなかったので、魚はいないのかなと思いました。そこで下りのドン淵ではカディスというちょっとふわふわしたフライに代えて、何気なくひょいと投げ込んでみました。
十センチくらいのヤマベを期待していたのに、それが思いもせず突然ガバーッと巨大な魚がフライに食いついてきました。こちらも油断していましたが魚の方も油断していたのでしょう。思わぬバトルとなりました。
暴れる魚が水面から姿を見せると虹色の魚体が見えました。40センチクラスの大きなニジマスです。こんな小さなプールでニジマスとはこれは思わぬ大物相手となりました!
ところがこちらは小さなヤマベ用の短くて細い竿で釣りをしていたので、そんなに大きな魚への対応ができていません。竿は一気にしなり今にも折れそう。
(マ、マズイ…)持ち上げようとしても持ち上がらないので、リールワークに切り替えようと思いましたが、その刹那、突然竿が軽くなりました。魚を逃がすいわゆる「バレた」というやつです。
釣り糸が切れたかな、と思いきや実は針の先が折られて逃げられました。やられた…!ヤマベ用の小さなフライだったの災いして、大きなニジマスに耐えられなかったようです。
どんなときも大物がかかるというイメージを持ちつづけないといけないのですねえ。考えを改めなくては。
釣り針を折られたところで、新しいフライにつけ直して何度も同じプールを攻めてみましたが、そのうちイライラがつのったか、そのニジマスは目の前で豪快にジャンプして下流へと消えてゆきました。
なんだか夢を見ているようなシビレた時間。こういうことがあると釣りが止められなくなります。
それにしても針が折られるとは…。
道具のメンテナンスを怠ると駄目ですね。