稚内へ来てから週末の釣りなど地域を巡るのにはレンタカーを借りるのですが、最近のレンタカーは燃費の良いのに驚きます。
借りる車種もそのときによって様々ですが、1500cc前後の車だとトヨタのヴィッツという車の燃費がすばらしい。
この地域ではほとんど信号のない道路を一定のスピードで走り続けられるという特性もあるのか、ガソリン一リットルで30km以上も走ります。ハイブリッドじゃなくても良い燃費が出るのが最近の車の進歩です。
一日走るくらいであれば途中で給油をする必要はありませんが、北海道は町と町の間の距離が遠いので、途中でガソリンスタンドがないというのは不安のタネです。
そんな記事がネットにありました。
【『ガソリンスタンド過疎化問題』電気自動車の板挟みで苦悩する経産省】
記事の趣旨はまさに、地方でガソリンスタンドが激減していることをとらえたもので、その原因は車の燃費もありますがやはり人口減少だとのこと。
さらには2010年の改正消防法によって、「埋設してから40年以上経過したタンクには漏洩対策を施さなければならない義務を課した。漏洩対策工事には、2000万円近い費用が伴う。地方都市では、『2000万円出して対策工事をしても引き合わない』という諦観していた経営者が多く、自主廃業を選択した」とあります。
地方でガソリンスタンドがなくなると困るのは、車が移動するための主たる手段になっているだけではありません。
記事では「寒冷地では暖房器具やお湯を沸かす燃料もガソリンスタンドが供給しています。また、農業が盛んな地では、トラクターなどの燃料も必要になります。普段はそれほど意識しないが、地方都市にとってガソリンスタンドはなくてはならないものなのです」という業界関係者の声も紹介されていました。
エネルギー供給を支えている民間企業の力が衰えてなくなってしまうと地方の暮らしはなお一層不便になるか成り立たなくなってしまいます。
特にガソリンは、扱いが難しく個人で運搬するのには制限もあって大量に保管することが難しい。
実は津波災害があったときに、救援に駆けつけた部隊が困ったことの一つが車を動かすガソリンの取り扱いでした。
道路が開かれず物流も途切れがちでなかなかガソリンが被災地に届かないために思うような移動や作業ができない、ということがあったのですが、そのときに頼りになったのはディーゼルエンジンと自衛隊の車両だったとのこと。
自衛隊の車両から軽油を借りてディーゼルの車を動かしたりディーゼル発電機を動かしたというのです。
そういう経験を経て、我々の組織でも事務所などに配置する車や発電機については、全部ガソリンエンジンのものにするのを止めて一部をディーゼルにしておこうという動きが出ています。
ディーゼル機器はガソリンに比べるとちょっと割高なのですが、リスクを分散するという意味がありますし、また軽油はガソリンよりも扱いやすいので、家庭や事業所で保管できる量も多くすることができますね。
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さて上記の地方都市のガソリンスタンドの存続問題ですが、これは地域全体で需要と供給を話し合ったり、タンクの改善のために地域や公的な資金の供給、さらには経営安定化のための地域内での問題意識の共有などが必要ではないでしょうか。
そのことを考えずに安いところだけを探して遠くのガソリンスタンドを使っていたらある日近くのスタンドが突然廃業になり地域全体の暮らしのレベルが下がるということのないように、事前に行政も交えて問題意識を地域で共有し、地域のあり方を全体で考えなくてはならない、そんな時代が近づいているような気がします。
人口減少下の地方都市においては、全てを民間に任せてしまうと民間の都合が優先して、社会全体でパフォーマンスを落としてしまうということがおきやすくなります。
人任せにせず地域社会を自分たちのことと考えることから地方創生も始まるのだと思います。