先週、先々週の週末は全く同じルートで枝幸町までカラフトマス釣りに行ったのですが、どちらも中継地点の中頓別町で前泊して釣りに出かけました。
稚内から釣りのポイントまでは約100キロメートル以上あるので、この距離を走って現地に朝四時前に集合するには、家を朝二時に出なくてはなりません。これでは朝釣り以降の日中は動けなくなってしまいます。
そこで前夜のうちに車を走らせるだけ走らせて、釣りのポイントの近くにいる方が良いのです。
車中泊という手もありますが、借りた車が軽自動車ということもあって、これではゆっくり寝ることができません。
こんなとき頼りになる寝床がライダーハウス。バイクや自転車などで旅をする旅人達のために雨露をしのげる低廉または無料の宿泊所です。
ところが「中頓別にはライダーハウスがある」ということはなんとなく聞いていたものの、どこにあるかがネットを見てもなかなかわかりません。
観光協会に事前に問い合わせてみると、「国道を左に曲がってグランドへ行く途中にあるんですけど…」「ああ、なんとなくわかりました」
「大抵常連さんがいるので、その方に訊いてもらうとルールを教えてもらえると思います」「はい、ありがとうございます」
大体の案内で場所がイメージできるとは、私もだいぶ中頓別に詳しくなりました(笑)
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ライダーハウスには二週にわたって二度泊まりましたが、最初のときは現地に着いたのが夜9時半過ぎ。
ライダーハウスはカーリング場を寝床にしている建物と、その前に別棟があってそこの明かりが着いていました。
おずおずと「遅くて済みませんが泊めていただけますか」と言うと、いい歳の方が、「そこに宿帳があるのでそこに必要なことを書いてください。寝るのは別棟だけど、皆寝ているので静かに入ってくださいね」と教えてくれました。
その後にちょっと若い方が「中は分かりますか?」というので「いえ、初めてなもので…」と言うと、「じゃあこちらへどうぞ」とほのかに明かりがともるライトをもって寝床の方へ案内してくれました。
「大体九時には皆寝はじめるんですよ」とのことで、着くのがちょっと遅かったよう。
「普通のライダーハウスは室内ではあるものの、寝るのは自分の寝袋でどうぞ、というところが多いんですが、この中頓別は布団を置いてくれているので、使われていないのを使ってください」
寝床の建物はカーリング場というだけに奥に長く、入り口から土間が続いて一段高くしてそこにコンパネが敷かれているというシンプルなもの。目が慣れてくると、奥に布団や毛布が畳んでおいてあるので、ありがたくそれを使わせてもらいました。
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一週間後の二度目は遅くなるといけないようだったので夜九時前に着いたのですが、やはり寝床はもうみな就寝中。
管理棟の宿帳に名前や住所を書こうと思って入ると、(ん?)どこかで見たことのあるおじさんが長椅子で横になっています。
「あ…、あの…砂金堀の管理人さん…ではありませんか?」
「そうですけど…」
「実は八月上旬に家族で砂金堀に行ってお世話になったんです。そのときの解説が面白くてとても印象に残っていたものですから、顔を見てすぐに思い出しました」
「ああ、そうですか、嬉しいな」
砂金堀を教えてくれたこのおじさんは、高知県にお住まいで退職後に大型バイクを買って、毎年6月から9月一杯北海道ツアーに来ているのです。
その後はいろいろと砂金堀や道内旅のことで盛り上がって話に花が咲きましたが、もう寝る時間も近づいてきたので挨拶をして先に寝床へ向かいます。
朝三時に起きてそっと寝床から出るときに、このおじさんは私に気が付いて「どうぞ気をつけて」「はい、そちらもお気をつけて」
袖摺りあうも多生の縁。
大の大人が本のひと時の出会いを楽しみ、一晩をゆったり寝られるライダーハウスはなかなか貴重な体験でした。
中頓別町さん、続けてくださいね。