聖骸布の仔

Ｄ．ｖ．コヴラウト氏の『聖骸布の仔』を読みました。

物語の舞台はアメリカ。聖骸布に付着したキリストのものらしい血液からクローンを生み出し
極秘に育てていた。
しかし彼の住む施設が火災に遭い行方不明になる。
普通の子供として育てられ三十二歳になったジミーは、プールの修理人としてごく平凡な生活を送っていた。
愛する人を失い仕事も失ったジミーは、絶望の中、キリストとしての教育を受け、奇跡を起こしていく。
ジミーの存在に関わる人々の様々な行動や思惑から、色々な事実が明かされていく。
果たしてジミーは救世主なのか？

環境ホルモンが人間の生殖能力を破壊しカルト教団が横行する世界。
その中で生まれ、人間的成長をするものの、人類の救済のために再び犠牲になってしまうジミー。
とても悲しい物語ですが、現在の日本でもカルト教団は横行していて
古くからある宗教は、人々の心を救えないでいます。クローン技術も発展するでしょうし、
他人事とは思えない物語だと思います。
どうかこの物語が絵空事で済みますように、祈らずにいられません。