世界中の短編から、米澤さんが選りすぐったアンソロジー集です。
オープニングは、あの源氏の君が表舞台から去り、亡くなるまでの出来事です。
ところどころ、本編とは異なる点が見受けられるものの、切なくあはれな物語になっていて良かったです。
他に私が気に入ったものは、ある年配の婦人がかつての親友に手紙で打ち明け話をする「昔の借りを返す話」
喋るとバイオリンの音が喉から出る「バイオリンの少女」
超能力もの?の「いっぷう変わった人々」
死者と友情をかわす「連瑣」
善人が無自覚になすがゆえに手に負えない意地悪「トーランド家の長老」
経験豊富なことがあだとなりケアレスミスなどで患者を死なせた老医師たちの告白に始まるミステリ「十五人の殺人者たち」
などです。
この本の難といえば、改行があまりないので意外と読むのが大変なことでしょうか?
とっつきも悪いですし、万人受けはしないかもしれません。
じっくり味わいたい方にお勧めします。