こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『文豪 宮本武蔵』田中啓文

2020-08-19 19:44:07 | 読書感想
 
宮本武蔵は佐々木小次郎には勝ったが、士官の道も閉ざされ、ついには、柳生但馬守に殺されそうになる。
その瞬間、死んだはずの小次郎が話しかけてきて、明治時代にまで跳ばされる。
さらに、到着した先では、偶然なのか小次郎の妹の夏に瓜二つの女性にぶつかってしまう。
しかも、彼女の名前は夏子。
樋口一葉だった。

怪我をさせてしまったと自宅まで連れて行かれ、着物の洗濯までしてもらい、夏目漱石と正岡子規に紹介してもらう。
そこでつい、小説家志望と言ってしまった事から、生活費は健脚を利用して人力車を引く事で得て、迷いながらも小説を書く努力をするのだが・・・。

剣豪が文豪だったという、啓文さんお得意の駄洒落のようなスタートではありますが、明治という、まだまだ多くの差別が残る時代で、権力者の横暴や、男尊女卑思考の自称・示現流の師範らしき男などと、初めは腕っぷしで、後には知恵で、不条理を乗り切るところが爽快です。
同時に、お夏さんと夏子さんとの関係もしんみりさせてくれる素敵なエピソードであり、肝でもありました。
コメント
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