こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『捜査線上の夕映え』有栖川有栖

2022-03-30 20:26:24 | 読書感想
 
コロナ禍の中、ミステリ作家・有栖川有栖も、自宅近辺の散歩以外は家に引きこもっていた。

しかし感染の第二波は沈静化したものの、秋から冬にかけての第三波が予想される状況下で、さすがの有栖川も自らの狂った調子を正常に戻すための気分転換に、JRを利用しての近場の旅(?)を行った。

かの火村英生准教授も、有栖川以上に感染対策のためにフィールドワークも控えているようだったが、有栖川が短い旅で出くわした因幡記者に、捜査が難航している殺人事件の応援要請の可能性を示唆される。

間もなく、火村から同事件の捜査応援への同行を依頼される。
このマンションでの殺人事件は容疑者はいるものの、アリバイと物的証拠が容疑者を犯人特定から遠ざけているのだ。
火村をしても捜査は順調には行かないのかと思われたが、彼は事件解決のための小旅行に有栖川を連れだした。

今までのこのシリーズは、私の記憶が間違っていなければ、年代によって火村と有栖川の年齢が特定されないように描かれていたように思うのです。
そんなわけで、ここまではっきりと二人がこの年に何歳かという事をはっきりさせたのに、驚きました。
もし、私の記憶に齟齬がなければ、このコロナ禍が現実の有栖川さんの気持ちにも大きな影響を及ぼしているのかもしれません。

肝心の、本編についても述べさせていただきます。
今回、準レギュラーと言ってもいい人物と犯人の接点があり、それによるお互いへの想いが微妙にずれてしまったのが、混乱のもとだったのかもしれません。
また、この物語にも新しい時代の波を感じるところがありまして、別の興味深さを味わいました。
ミステリを読むのにも、少しずつ時代の変化を取り入れて推理していく事になりそうです。

まあ私自身は、推理力はからっきしなので、すごいなあと思いながら読むだけなんですけどね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする