こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『神の水』パオロ・バチガルピ

2015-12-19 20:06:02 | 読書感想
近未来のアメリカ合衆国では、地球温暖化により慢性的な水不足に苦しんでいた。
さらに一部の富裕層が水供給をコントロールし、人々の生活を支配していた。

米西部では、コロラド川の水利権をめぐってネバダ、アリゾナ、カリフォルニアなどの州が州軍を押し立てて武力対立するまでにいたっていた。
同じような状況のテキサス州の州都フェニックスに送り込まれたラスベガスの水工作員・アンヘル、水問題を取材するために東部からやって来た女性ジャーナリスト・ルーシー、テキサス難民としてフェニックスにたどり着いた少女マリアが、その水利権にまつわる物に関わることで出会う。

あまりにも深く重い内容に本書を読む手が何度も止まり、その悲惨さ残酷さに何度も投げ出したくなりました。
「ねじまき少女」を思い出して結末を知りたいと思ったことと、直視しなきゃという思いから、何とか読み進めることができ、読了しました。
1週間は、かかりましたね。

現在でも水不足に悩まされている合衆国の人々にとっては、間近に迫った恐怖でもあるでしょうね。
私もこれを読んで、日本も作物を自給できるようにならないと大変なことになるのでは、と恐怖しました。
かなり、合衆国に頼っていますからね。
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『春や春』森谷明子

2015-12-16 19:32:50 | 読書感想
私立藤ヶ丘女子高校の一年生、須崎茜は、父の影響で俳句に親しんでいた。
しかし、国語の現代文の教師の富士に俳句を否定されたことと、中学時代から気になっていた他校の男子生徒に再会したいこともあって、俳句同好会を設立。
俳句甲子園に出場することにした。
うまいことに今は三学期末。新一年生を取り込むつもりだった。

俳句初心者ばかりの女子高校生が、俳句好きなだけの素人の英語教師を顧問にして、できた俳句同好会。
何度も失敗や挫折を繰り返して立ち直る姿が、ありきたりな表現ではありますが瑞々しく美しい、爽やかな青春小説でした。

勝負はしてても勝ち負けじゃない、というのもいいですね。
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『ぶたぶたの甘いもの』矢崎存美

2015-12-13 19:58:04 | 読書感想
今回のぶたぶたさんは、和菓子職人。
和菓子処「しみず」のご店主です。
イートイン(?)スペースもあって、店で売っている和菓子を抹茶や煎茶で食べられるセット、あんみつ、豆かん、雑煮、ぜんざい、おしるこ、ところてん、おでんや焼きそばまであります。

食べ物が美味しそうで困ってしまうのはいつものことですが、やはり今回も、初対面の方がぶたぶたさんに驚いてしまいます。
で、今回特に良かったのは、亡くなった夫が買ってきていた和菓子を求めて訪ねてきた奥さまの話と、実の両親が苦手な男性の話です。
前者は「しみず」を訪ねたことで、再び日常生活を営めるようになり、後者はそんな自分を認められるようになったところが良かったです。

食べ物の話ばかりに思えるかもしれませんが、その中に大事なことを内包している物語です。

甘味処といえば、若い頃、夏場にどうしてもぜんざいが食べたくなって新天町にあった左衛門の甘味処で食べた思い出があります。
今は、販売だけなのが残念です。
「博多ぶらぶら」のお店ですね。
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『月世界小説』牧野修

2015-12-12 19:38:13 | 読書感想
菱屋修介が友人とゲイパレードを見ていたところ、急に現れた天使たちに襲われ、その友人を殺されてしまう。
そんな中、修介は自らの妄想の中にある月世界に逃げ込む。

また別世界の菱屋はヒッシャー・シュスケットとして生き、そこでの日本人は日本語を奪われているばかりか、その存在自体を忘れさせられていた。

多数の言語を一つにし宇宙を統一して、あわよくば人類を亡き者としようとする神と言語の力で抵抗する人間との戦いが描かれています。
並行世界のような多重世界のような複雑な世界で、物語ることによる戦いが繰り広げられ、手に汗握るような気持ちでありながらも楽しく読ませていただきました。
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『かなりや荘浪漫 星めざす翼』村山早紀

2015-12-10 19:47:40 | 読書感想
今回、美月のライバル絵馬や後輩の類が育てている漫画家の卵たちの話題が出てきます。
今後、茜音の良きライバルとして登場するようなので、とても楽しみです。

また、最近かなりや荘に越してきたとげとげ服の怪しい男・ジャガーも面白いキャラクターですね。
ある一致から、茜音とどのように交流していくのかも気になります。

番外編では、かなり心配になることが描かれていましたが、助けてくれる人々がいてくれたので安心しました。

色んな人々が何かしら縁があって繋がっている、みんなが縦糸と横糸になり美しく温かい織物が生まれるように感じられました。
続きが楽しみです。
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