こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『君はレフティ』額賀澪

2017-04-24 19:18:27 | 読書感想
高校二年生の古谷野真樹は、交通事故に遭い重体に至ったが一命はとりとめ、見た目はすっかり元気になった。
ただし、全生活史健忘という記憶喪失になった以外は。

つまり、知識はあっても経験は忘れているのだ。
自分自身のついてはもちろん、同じ写真部の生駒佳佑と春日まどかのことさえ。

生駒も春日も、クラスメイトも、そんな古谷野を受け入れてはくれたが、ある日から「7.6」というメッセージが校内のあちらこちらに描かれるという出来事が起き始める。
メッセージの主と、その意図とは何なのか?

読み終わってみると、つくづく事故前の古谷野っていい奴だったんですねえ。
とはいえ、それを後の古谷野まで踏襲することは無いと思います。
だって、多分お互いに将来苦しむことになるんじゃないかと思えるから。
そういう意味で、早く別のお相手が見つかることを祈らずにいられません。
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『人間じゃない』綾辻行人

2017-04-23 19:27:51 | 読書感想
綾辻さんの、まだ本になっていなかった短編を集めた作品集です。

子どもの頃に流行する怪談の1つ「赤いマント」が実際に起きた?「赤いマント」
4月にはめったにない季節外れの大雪の日に起きた、夢と現の境目のような出来事「崩壊の前日」
2006年の8月3日にUから届けられた原稿の由来「洗礼」
201年夏の夜、喫茶店で見つけた蒼白い顔の女の正体「蒼白い女」
B〇四号室の患者が、まだ正気だった頃に出くわした惨殺死体と事件の真相「人間じゃない―B〇四号室の患者―」

どれも面白いのですが、綾辻さんの思いが詰まった「洗礼」と、意外と可愛いと思えた「蒼白い女」そしてホラーは苦手だと思いつつ、意外とはまった「人間じゃない―B〇四号室の患者―」が、特に好きです。
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『たゆたいエマノン』梶尾真治

2017-04-19 19:32:08 | 読書感想
今回初めてエマノン発生の経緯が描かれ、‘‘ヒカリ’’が彼女の長年の親友として現れます。

‘‘ヒカリ’’とその父親は『おもいでエマノン』の「あしびきデイドリーム」にも登場するのですが、実は『クロノス・ジョウンターの伝説』にも、父親と同姓同名の 人物が出てきます。
もしかして、並行世界なのかな?とか、クロノスの彼の影響で、‘‘ヒカリ’’がこの能力を身に付けることになったのかな?とか、空想は広がっていきます。

また「さよならモイーズ」は、「たゆたいライトニング」と並ぶ雄大かつ繊細な、切なくも素晴らしい物語になっています。
とても考えさせられる、お薦めのシリーズです。
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『三十年後』星一

2017-04-18 19:31:20 | 読書感想
星新一さんのご尊父、星一さんが45歳の頃に出版なさったというSF小説。

政治家を引退し無人島で暮らしていた嶋浦太郎が、近くの海底噴火のせいで島が沈下し始めたため帰国したところ、知り合いがなぜか若いままだったというところから始まります。

多分、当時の星一さんは、パラダイスの世界を描いたおつもりなのかもしれませんが、私には、同じ考えに洗脳された人ばかりが暮らす、不気味な世界に思えました。

そういえば、社会への不満が無くなる薬を投与されることから逃げ回る男性を描いたショートショートは、星新一さんが書かれたのでしょうか?
そうだとしたら、この作品を意識なさったのでしょうか? タイトルを忘れたので、調べるのは時間がかかりそうです。
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『「茶の湯」の密室 神田紅梅亭寄席物帳』愛川晶

2017-04-16 19:24:23 | 読書感想
真打・山桜亭馬伝が妻・平田亮子の友人の依頼で、福島県いわき市の仮設住宅の集会所で落語会を開き『茶の湯』をやったところ、初めて落語を聴いたという素人の少女に噺の矛盾点を指摘される。
そこを修正するための一環として、亮子が出かけた茶会で不思議な密室に出くわしてしまう。

前作で師匠の馬春が高座復帰したので、ここでこの物語は終わったのかもしれないと薄々感じ、愛川さんご自身もそのつもりでおられたらしいのですが、嬉しいことに続きが出ました。
それにしても、初めて聴いた落語の矛盾点に気づくとは!この少女、ただ者ではありません。
私なんて、ただただ笑っているだけですよ。

ミステリとしてはもちろん、落語も楽しめ、人々の心の動きも繊細に描かれている物語ではないでしょうか?
まだまだ続きそうなのも、嬉しいところです。
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