こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『南風吹く』森谷明子

2017-09-20 19:34:46 | 読書感想
今の二年生の卒業をもって廃校となる愛媛県立越智高等学校五木分校の三年生・小市航太は、部員五人の球技部に所属しているが、彼の足首の捻挫と、二年生部員の右大腿部骨折その他の怪我のため、バスケットボールの県大会に出られない事が決定し、空っぽになっていた。

そんな航太の住む五木島は人口が減る一方で、家業の和菓子屋を継ぎたいのにその先行きを危ぶむ父親は、それを認めてくれない。片や親友の村上恵一は、どうやっても船酔いする体質のために漁師の跡は継げないと言うのだが、父親が大学進学を認めない。

そんな彼らのクラス委員の河野日向子は、なぜか恵一に俳句甲子園の出場を強要してくる。
直談判が無理だと思った河野は、航太を始め、周りの者から強引に参加者に入れて・・・。

全国の様々な気候風土から生まれる多彩な俳句に、航太だけでなく私も一緒に納得したり感心したり。
また、主要メンバーの背景について、懐かしさと痛みと愛しさが入り混じった気持ちで読みました。
面白かったです。
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『幹事のアッコちゃん』柚木麻子

2017-09-18 19:22:58 | 読書感想
新人の久瀬涼平は忘年会の幹事を任されているが、プライベートを割いてまで社内の人間と過ごしたくない彼は、不満を抱えていた。
そこで出会ったのが、アッコちゃんこと黒川敦子さんだった。

表題作を始め、相変わらずパワフルなアッコちゃん・・・と思いきや、今回はかなり弱みを見せてくれます。
そして、出世街道まっしぐら!な人生と思わせてあの結末とは!
何のかんの言っても、現場が好きなんですね。
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『花咲小路二丁目の花乃子さん』小路幸也

2017-09-17 19:59:16 | 読書感想
井筒めいは高校でひどいイジメに遭い、そこを辞めて従姉弟の家<花の店にらやま>で働きながら高卒の資格を取る事にした。
店は花咲小路商店街の二丁目にあり、めいの十二歳年上の花乃子さんと、双子の弟である柾にいちゃんと柊にいちゃんで営んでいる。

花乃子さんには、花を贈る人がその花に込めようとしている想いが見え、めいにはその時、花乃子さんの瞳にガーベラの花が見えたのだ。

この物語は、大まかに言えば、無意識に想いを込めようとしていた人々の絡み合った人間関係を、花乃子さんやめい、ミケさんが解きほぐそうとする話ですね。
とはいえ、メインは花乃子姉弟とめい、そして商店街の人々が織りなす多彩な人間関係を、より良きものにしていこうとするところなのではないかと思います。

三丁目も読みたいのですが、まだまだ図書館本が積んでいますので、もうちょっと片付いてからですね。
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再読『花咲小路一丁目の刑事』小路幸也

2017-09-16 19:11:18 | 読書感想
以前読んでいたと思ったのですが、記憶が定かではなかったので再読。
数ページで既読な事は思い出しましたが、最後まで読みました。

あらすじは2014年に書いていたこちらで。

まず初めに登場するミケさんこと三家あきらさん(女性)が、普通に平凡に生活しつつ謎めいているところに惹かれました。
そして淳ちゃん刑事の先輩・権藤さんは、いかつい雰囲気を醸し出しつつも人情味あふれる人で、私は素敵だと感じました。
あと前巻から引き続いて登場のセイさんが、大切な役割を果たしてくれます。

これだけでも充分役者は揃っているのに、オールスターって感じで活躍してくれるから、より楽しめます。
さて、これで安心して次巻が読めます。
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『あなたのとなりにある不思議 ぶるぶる編』日本児童文学者協会・編

2017-09-15 19:31:09 | 読書感想
航平の亡くなったおじいちゃんが書いた予言書「あくまの書」
親友と忍者ごっこをしているうちに失くしてしまったリコーダーの代わりにおばあちゃんにもらった癖のあるリコーダー「グルメリコーダー」
下町の若いねずみ・チュウまるの恐怖体験「メインディッシュ」

その他にも面白い話がたくさん並んでいます。

私が特に面白く感じたのは、
廣嶋玲子さんの「体験地獄開発中」
イノウエミホコさんの「龍神さまの友だち」
みおちづるさんの「夕ぐれのかくれんぼ」
太田忠司さんの「あの角を曲がれば」
です。

特に太田さんの作品は、何気ない中に一番の怖さを秘めています。
お薦めします。
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