こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『巴里マカロンの謎』米澤穂信

2020-05-19 19:58:15 | 読書感想
 
今度、ニューオープンのフランス菓子店のマカロンで、秋限定フレーバーは四種類なのだが、ティー&マカロンセットで選べるのは三種類だけ。
そんな訳で、その店に小鳩くんが小佐内さんに連れられてやって来た。

注文し、手拭きが無いために交代で手洗いに立っている間に、小佐内さんの皿だけマカロンが四種類に増えていた。

小市民シリーズ最新作です。
マカロンの時に知り合った人物に文化祭へ招待されたり、ベルリンの揚げパンのゲームにおける解せない展開を相談されたりと、今回も、様々な角度から思考をめぐらせる状況が続きます。

そうそう、小市民じゃなく一般庶民の私でも、マスタード入りの揚げパンの行方は分かりました。ただ、入っているものまでは、想像つきませんでしたが。
論理的にではなく、物語の展開からそうだろうと予測しただけなので、説得力に欠けるのが残念なのですけどね。

それにしても、小鳩くんと小佐内さんの考え方は老成しすぎている気がします。
もう少し、大人に怒ってもいいですよ。
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『目を見て話せない』似鳥鶏

2020-05-15 19:54:01 | 読書感想
 
大学の新入生ガイダンスで自己紹介を行うだけで、頭の中でぐるぐる考えすぎてしまう藤村京。
他人にどう思われるかを考えすぎてしまい、話しかける事もできない彼だったが、忘れ物の傘を、自己紹介の内容だけで推測して届けた事から、加越教授とその姪で同級生の美晴に名探偵認定される。

また、同じ学科に小学校が一緒だった里中がいた事から、セレクトショップに付き合わされ、そこでたまたま同じ学科の美川奈津美から試着室での人間消失の噂を聞かされる。

些細な日常から始まり、最後には犯罪の推理をする事になるのですが、京が、それまで自分自身をコミュ障と思いこみ、なかなか人との交流を持てなかったところを様々な謎を解決し、他人にも角度を変えた人見知りの形がある事に気づき、吹っ切ることができるようになれて本当に良かったです。

私も、この年になって少し吹っ切れてきたところなので、京は、マシなのではないかと感じました。
まあ、私が遅すぎるのでしょうがね。
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『夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン』小路幸也

2020-05-13 20:00:51 | 読書感想
 
〈東楽観寺前交番〉に勤める宇田巡 巡査は、ここに来て三年目になる。
幼なじみのこの寺の副住職・大村行成と入口脇のベンチで世間話をしていると、交番の電話に匿名の通報があった。

何でも、本材町の高層マンション〈グレースタワー〉の最上階にある部屋が、暴力団の事務所になっているのではないかというのだ。
巡の恋人・楢島あおいの父・明彦が、行方不明となっている大学の同窓生・脇田広巳を見かけたのは、そういう時期だった。
あおいも、オレオレ詐欺の受け子らしき若い男を見かけ、ドローンの開発をしているカツヤとケイの片割れも、最近知り合ったベトナムから働きに来ている女の子ランが、騙されているらしいという情報を得る。

巡も行成もあおいもケイもカツヤも、単純に犯罪だと騒ぐのではなく、状況や人の心理など周りの事もよく考えたうえで決断し、より良い方向で問題解決に導こうとします。
それが無ければ、マンションの部屋の持ち主が糾弾されて、肝心な主犯は取り逃がしてしまったかもしれません。
この物語のレギュラー的登場人物たちは、いつも冷静で的確な判断ができて、羨ましい限りです。

それにしても、巡とあおいも、もうすぐ結婚ですかあ?感慨深いものがありますね。
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『猫君』畠中恵

2020-05-12 19:46:55 | 読書感想
 
明るい茶虎の雄猫・みかんは、髪結いのお香に育てられ、もうすぐ二十年経とうとしていた。
お香によると、占い師だった亭主の同業者・和楽から、猫又になりそうな筋の良い猫なので大事にして欲しいと頼まれ、みかんをもらったのだという。

しかし、お香は二十年を待たずに亡くなってしまい、長屋の人々にも、みかんが喋れることから猫又になってお香を取り殺したと勘違いされてしまう。

人に追い回されて逃げているところを、猫又の兄貴分だという加久楽に助けられ、猫又の里に入るための学び舎・猫宿に連れて行かれる。
さらにそこでも、過去の英雄”猫君”の再来という猫が新米の中にいるという噂があったために、無法をする連中もいて、新米猫又たちは怖い思いをする。

ようやく学び始めても、新米たちそれぞれが所属する六つの陣が彼らを粗末にするのに耐えられず、みかんが中心となって、陣に勝負を挑むこととした。

猫又の里の陣がいつまでもいさかいを辞めないから、新米たちも苦労しますよね。
まあ、その中で彼らなりに自分たちの処遇を良くするために知恵をしぼって戦うところが面白いし、素敵です。
本来なら、多勢に無勢とあきらめそうなところですが、若さゆえの怖いもの知らずも手伝っているんですかねえ。

江戸の歴史にからめたり歴史的有名人が猫又だったりと、茶目っ気があり、他作品からのゲストも登場したりと、遊び心のある面白い物語です。
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『居酒屋ぼったくり おかわり!』秋川滝美

2020-05-11 19:47:11 | 読書感想
 
美音と要の結婚後のぼったくり。

奥さんが実家に里帰り中の智紀が、電車の事故による停車のために途中下車しておっかなびっくりやって来たり、百貨店に勤め一人暮らし歴3年半に田宮朋香が、作ってくれた人の温かみが感じられる夕飯に飢えていたところで、恋人の育也に連れてこられたりと、今回、久しぶりに新規のお客様がいらして、これもまた、嬉しい光景でした。

もちろん、馨ちゃんの恋模様や、アキさんとリョウちゃんの関係も気になりますし、商店街や町内の人々の暮らしも同じくですよね?
それと、美音が珍しく、要さんに不満を表す事が出来たのも良かったです。

このシリーズはここで終章でしょうが、この町内や商店街は、この調子でいつまでも、小さなトラブルは発生しながらも、日々、穏やかに暮らしていくのでしょう。
だらだら続けるよりもここで一度終わらせて、いくつかのエピソードが浮かんだ時にでも、番外編を出していただけたら私は満足です。
コメント (2)
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