『シャーロック・ホームズの建築』北原尚彦・文 村山隆司・絵・図

シャーロック・ホームズの建築 北原 尚彦 エクスナレッジ

 

シャーロック・ホームズ研究家でもある北原尚彦さんによる、ホームズ正典に出てくる建物の外観と間取り図の本、という事で、出版されて間もなく購入したものの、ようやくここ数日で読了できました。

なにぶんミステリを何度も読み返すという事が無い、あまりファンを名乗れない人間ですので、読んでみても「ああ、あそこね？」とは言えなくて申し訳ありません。

それでも北原さん方が、ああでもないこうでもないと時には正典の微妙なところに悩みながらも作ってこられたのだろうなあ、と心温まる思いがしました。

本当に、北原さんのホームズへの愛と村山さんのドイルへの誠実さに満ちた本です。

私としては、全てのミステリ好きにおすすめしたいですし、西洋建築が好きな方、イギリスというかUKがお好きな方など、おすすめ出来る方々が多いと思います。あ、そうそう、宝塚ファンの方で舞台のホームズで興味が出た方もぜひ！

『ナモナキラクエン』小路幸也（再読）

ナモナキラクエン (角川文庫) 小路 幸也 KADOKAWA

 

この本は、読んだような気がするけどすっかりわすれているようなので、再読覚悟で読んでみました。
ここで検索したら、案の定再読でしたが(^^;)

まあそれでも、自分自身の現在のあらすじや感想の下書きを読むと（前もって広告の裏紙に書いています）、いくらかは違ってきていますね。

四人兄妹の名前が、山紫水明から来ているという設定としてはふざけているようなものも、結末で分かる彼らの衝撃の事実からすると、伏線だったんだなあ？と思ったり、父親のおかげもあるけどそれ以外にも四人の揺るがない絆を感じたりと、微妙に違うのかもしれません。

ちなみに、2015年2月15日の日記です。

『ナモナキラクエン』小路幸也 - こっぱもちの部屋

サン・ユカリ・スイ・メイの４人は、異母兄妹である。母たちとは４人とも縁が切れ、父と５人家族として暮らしていた。ところが、七月の夏休みが始まる手前の日曜日の午後一時。サンと二人きりでいた父が「楽園の話を聞いてくれないか」と笑みを浮かべたまま、崩れ落ちるようにゆっくりと倒れ、そのまま死んでしまったのである。葬儀のあと、遺言を読んだ４人は、それぞれの母に会いにいくことを決める。それぞれの母は、確かにいい人だとは思えたのだが、どこか違和感を覚えてしまった。その後、サンだけどうしてもと父の幼なじみから理由を聞くこととなる。お父さんが子どもたちの負の感情を引き受けつつ、未来を見るように仕向けてくれたおかげで、彼らは今もこれからも、地に足をつけ何にも惑わされないで、生きていけるようになったと思います。いい物語でした。『ナモナキラクエン』小路幸也

『ナモナキラクエン』小路幸也 - こっぱもちの部屋

『探偵少女アリサの事件簿 さらば南武線』東川篤哉

探偵少女アリサの事件簿 さらば南武線 東川 篤哉 幻冬舎

 

今回の物語の幕開けは、筑波山麓にある別荘地。

『なんでも屋タチバナ』を営む橘良太が、探偵を両親に持つ綾羅木有紗の家の、別荘の近所で起きた殺人事件に遭遇し、別荘地の外れの駐在所に通報に向かう事から始まる。

特殊な家庭で育った有紗自身も、10歳ながら名探偵。
良太が彼女のお守りをしているようで、実のところ彼女の探偵助手をしているような状況なのだ。

シャーロック・ホームズ以来、名探偵と助手のミステリは多いのですが、10代の頃ならともかく、私自身は自分自身が平凡すぎるという自覚がありますので、どうしても助手の方に親近感を抱くといいますか、特に気分が落ち込んでいる時は、凡人の悲哀をかみしめたりしますねえ(^^;)

本題に戻りますと、この物語は一応ここで一区切りなのでしょうが、読者の希望によっては案外、世界的名探偵とうたわれている母親とのロンドンでの活躍が描かれたりしないかな？などと思ったりもします。

もちろん、ストレートにその様が描かれるのもいいし、逆に、有紗が帰国してからの日本での活躍の最中での、思い出話として語られるのもありですよね？

『桜風堂夢ものがたり』村山早紀

桜風堂夢ものがたり 村山 早紀 PHP研究所

 

今回は番外編かな？
書店員・月原一整の働く書店・桜風堂のある桜野町で起きた、いくつかの少し不思議な物語がまとめられています。

それぞれの主人公たちが様々な原因で心を傷つけられ、いつしかこの町で暮らすようになっています。
とても優しく思いやりに満ちた物語ではありますが、現実を見るにつけ、実はこの町は死後の世界で、心を傷つけられて亡くなった人々が、昇天する前にその痛みを癒す町なのではないかと勘繰ってしまう時もあります。

人が傷つけられるところを見ても、見て見ぬふりをしてきた人々の贖罪の物語とも受け止められます。

イジメや暴言暴力は、子どもの世界だけではありませんし、大人だからこそ止められないという残酷さもありますよね？

本当に、子ども・大人に限らず、弱者を心身ともに傷つける人々こそ、海外でも始まっているように施設にでも入れて、矯正というか治療するようになるといいですね。