NHK・BS1の番組「ワールドニュース」を、ときどき見ている。
世界各国の放送局のその日その日のニュースを、順次紹介している番組である。
見ていると、ときに日本のテレビでは得られない視点があったりして、なかなかおもしろい。
例えばプラスチックごみによる海洋汚染の深刻さを、わたしが初めて知ったのは、この番組である。
海洋汚染が日本ではまだ、あまり話題になっていなかった数年前から、複数の国の放送局がとり上げていた。
それはともかく、きょうの当ブログの話題は、この「ワールドニュース」に登場する各国放送局のニュースキャスターについてである。
実は、わたしが気になるニュースキャスターが、二人いるのだ。
一人はイギリスBBCのフィオナ・ブルース氏。もう一人はフランスF2のアンヌ=ソフィ・ラピ氏。
上がBBCフィオナ・ブルース氏、下がF2アンヌ=ソフィ・ラピ氏だ。(いずれもNHK・BS1「ワールドニュース」より)
二人とも女性であるが、女性だから着目しているわけではない。
フィオナ・ブルース氏はその「声」に、アンヌ=ソフィ・ラピ氏はその「装い」に、大いに魅力を感じている。
フィオナ・ブルース氏の声は、低く抑制の効いた落ち着いた声である。それでいて発音が明瞭で聴き取りやすい。
イギリスのテレビドラマ「ダウントンアビー」などを見ていると、100年ほど前のイギリス上流階級の食事風景がよく出てくる。
食事の場では貴族のたしなみとして、和やかに抑えた声でユーモアを交えながら会話を楽しむ。
ときに話し手が、古典からの有名なフレーズを引用したり、気の利いた警句をまじえたり、さりげなく会話に知性と教養をにじませる。
そんな場に、このフィオナ・ブルース氏の声はぴったりだな、と思わせてくれる。
一方、アンヌ=ソフィ・ラピ氏の装いは、一言でいうとシンプルでシック、それでいて上品である。
例えば、紺系のジャケットに落ち着いた柄のシャツを合わせ、余計な飾りをほとんど付けない。
時折シャツのやや開いた胸に、ほとんど目立たない小さなネックレスを覗かせることもある。(おそらくプラチナの細い鎖に小さいダイヤモンド)
この控えめなお洒落はフランス流の「粋」かもしれないし、「ほんとうのお洒落は余計な飾りを削ぎ落としたところにある」とでも主張しているかに見えるアンヌ=ソフィ・ラピ氏の ‘お洒落哲学’ かもしれない。
「抑えた声」と「シックな装い」・・これは言葉を替えれば、どちらも「洗練の極み」であると思う。わたし自身が目指したい世界でもある。
ところで少し話題が変わるが、この2月にロシア・ウクライナの戦争が始まってからしばらくして、このNHK・BS1ワールドニュースの朝6時台放送分から「ロシア国営テレビ」のニュース枠がなくなってしまった。
ロシアとウクライナの紛争については、さまざまな見方・考え方があって当然だが、ロシア国内でこの戦争がどう報道されているのかは気になるところだ。
NHKのワールドニュースは、ぜひこのロシア国営テレビ枠を復活させ、これまで通り流してほしい。
長年放送してきたコーナーではないか。
より広い視点からの価値観の異なる情報は、視聴者の状況判断に益することがあっても害となることはないはずだ。
ロシア国営テレビ枠の復活を、NHKに強く要望したい。