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先日ふと気がついた。
「穏やか」「爽やか」など、語尾に「~やか」の付く言葉には、人間にとって好ましい状態を形容するものが多い、と。
「穏やか」「爽やか」のほかにも、「和やか(なごやか)」「にこやか」「伸びやか」「晴れやか」「健やか(すこやか)」などがあり、これらはいずれも、こうありたい、こうあってほしいと思えるものばかりである。
「やか」という語自体に「好ましい」という意味があるのかなとも思ったが、そうでもないらしい。
「冷ややか」(な視線を向ける)、「まことしやか」(な嘘をつく)などは、かならずしも好ましいこととはいえないし、「速やか(すみやか)」「ゆるやか」などは、好ましい、好ましくないの枠をこえた表現である。
辞書で「やか」を引くと、「いかにもそのようなようすであるという意。状態を表す語に付いて形容動詞の語幹をつくる接尾語」とある。(デジタル大辞泉)
つまり、「やか」そのものには、好ましい・好ましくないの意味はなさそうだ。
このような ‘~やか言葉’ で、まえから気になっていた言葉が三つある。「さやか(清か)」、「けざやか」、「たおやか」だ。
いずれも今は一般にあまり使われていないように思えるので、わたしの好きな言葉ではあるが、自分では使いにくい。
「さやか」は、「秋来ぬと 目には ‘さやかに’ 見えねども・・」という古今和歌集の藤原敏行の歌にもある。「はっきりと」という意味で使われている。
「けざやか」は「きわだって、くっきりしている」という意味で、「○○山は ‘けざやかに’ 東の空にそびえる」というように使う。
「たおやか」は「ものごし、態度などがものやわらかなさま。気だてや性質が、しっとりとやさしいさま」という意味で(精選版日本国語辞典)、わたしの見つけたこの言葉の用例としては「凛として ‘たおやか’ に」がある。(いつも行っている歯医者さんで飾ってあった絵手紙のなかに書かれていた)
凛としてたおやかに・・・、意味は「穏やかな中にも態度がきりっとしている。優しいが芯がしっかりしている」ということであろうか。素敵な言葉ではないか。
「たおやか」は女性に対して使われることが多い、と説明している辞書もあった。しかし今はジェンダーフリーの時代。男であるわたしも、凛としてたおやかな人間でありたいと思う。
*上の写真はわが家の庭に咲いたビオラ(鉢植)。厳寒の今の時季にも凛として咲いています。