水に対する火、すでに完成した刀に対するフェティシズムと、刀が生き物のように生成してくるエロス。
江戸に行く者を集める話であるにも関わらず、これは江戸には行かないなと途中で思わせる。
低予算であることは限られた場と人物にコンパクトに収めていることからうかがえるが、そのとで逆に見えない「江戸」が一種の抽象となっていて、江戸というのがいわゆる一応リアルな歴史上の存在であるより、騒乱と時代が滑り落ちて崩壊していくことの代名詞であり、どこからか現れた無頼の者たちも騒乱と暴力の気配の塊の一部が可視化されたモノと映る一方で、作者も主人公も彼らをぶった斬るカタルシスに意地のようになって向かわない。
クライマックスで噴出する血しぶきは液体であると共に背後からライトを当てられて炎と燃えているように見える。
音楽音響が強烈。これは劇場でないと体験できない。
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