冒頭、山に囲まれた荒野の真中でキャンピングカーが燃えている、という映像から始まり、情事のあとのシャーリーズ・セロンが裸のまま窓の外を見ている、という具合に一見しておよそつながらない場面が説明抜きでつながる。情事の相手の男とは表立ってはまったく何事もないかのように応対しており、一方正体不明の男がつきまとっている、といった具合に説明抜きの場面が積み重なる中で次第に話が見えてくるサスペンスと、背後にある凄絶な事情が立ち上がってくる迫力が眼目。
それらの都会の場面に埃っぽい田舎の情景が入ってきて、燃えていたキャンピングカーの中で不倫中の情事にふけっていた男女が焼死したというのが知らされる。
文脈からそれらが過去の場面なのがわかって、女の方(これがキム・ベイシンガー)の娘(当時18歳のブレイク前のジェニファー・ローレンス、これでヴェネツィア映画祭新人俳優賞)の大きくなった姿がセロンであることが見当がついてくる。
時制が複雑に交錯するが、人間関係は親子か愛人かの一対一の関係だからそれほどわかりにくくない。ただ途中で話の核心の見当がつくのでもうひとつ突っ込んでほしいのと、一つ一つの場面の独立していても見せてしまう力が今ひとつという感じ。
「あの日、欲望の大地で」 - 映画.com
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主演 シャーリーズ・セロン キム・ベイシンガー監督・脚本 ギジェルモ・アリアガ | |
東宝 |