prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「恐怖の報酬」

2018年12月03日 | 映画
日本で初公開された国際版こと92分版は「天国の門」の初公開時の2時間半版同様にこれから逆に見られなくなって「ないこと」になっていくのではないか。

92分版には今回ないシーンもあったと思う。
たとえばトラックが出発して間もなくでこぼこ道を走るのにF・ラバルがやめろと言うのを押し切ってR・シャイダーがスピードを上げた方が安全だとあえてアクセルを踏んで突っ走るシーンは92分版には確かあったが、121分版にはない。

あとオープニングはもっと大作風のジャングルの上を飛ぶヘリコプター・ショットでラストもそうだったと記憶する。間違っていたら御免。
「ブレードランナー」も初公開時はラストに「シャイニング」から借用したヘリコプターショットが使われたが、ちょんぎって体裁を整える時のヘリコプター頼みというのか。

後半のトラックの走りになると、通常の見せ場また見せ場というのとはまた違う、少し変なつなぎも散見する。もともと二台が同じルートを走るわけで同じことの繰り返しは避けたいわけだが、その省略の仕方が唐突だったりで、クルーゾー版にもあった腐りかけた木の台を後発のトラックを渡るところは丹念に見せるが、前のがどう通ったのかはまるで出てこない。もっと長かったのを縮めたような感じもする。
通常だったら吊り橋が落ちるスペクタクルを丹念に見せるだろう。

シャイダーが強盗に入る教会(バチ当たり!)で執り行われている結婚式の花嫁が殴られて目の周りにアザを作っているのがストーリーとはまったく関係ないのだが不吉。「ディア・ハンター」の花嫁が結婚式前に殴られていたみたい。

吊り橋のシーン、画面の奥まで豪雨が降り、橋の下には濁った激流が写っているのだからどうやって撮ったのかと思う。メイキング撮っておいたら凄かったろうけれど、あれではメイキング撮っておく余裕もないだろう。

2Kリマスターでやや緑が鮮やかになり過ぎている感はあるが、地の果てのような南米の僻地の村の汚れ具合があまりにリアルでそのまま悪夢のよう。
登場人物がやたらとコカ・コーラを飲んでいて(舞台は南米というアメリカの裏庭なのだな)、警官の一人が拳銃を栓抜き代わりに王冠を抜くなんて真似をしている。

場内大いに盛況。初公開時に「フリードキンの演出はすごいが、この映画の冷たさが好きな人は異常性格者だ」なんて評があったが、それだけ世界の冷酷さを建前で覆い隠さないようになったのだろう。

「恐怖の報酬」 - 公式ホームページ

「恐怖の報酬」 - 映画.com

12月2日(日)のつぶやき その2

2018年12月03日 | Weblog

12月2日(日)のつぶやき その1

2018年12月03日 | Weblog