ただ、ずらしていく分場面やキャラクターの感情が積み上がってクライマックスを迎えるという具合に盛り上がっていくのが断ち切られるようで、岡田准一のキャラクターの描き方は後付け式にとってつけたような感じはある。
Jホラー風のじっとりした演出とはまた違って映像と音響は中島哲也監督作らしく派手でケレンが効いているけれど、「渇き。」みたいに過剰にいじった感じにはならないのはありがたい。
カプセルホテルにお祓いのための衣装をつけた神主たちがずらっと並んだり、今風のマンションの前に大がかりな舞台をしつらえ、ちょっと怪獣映画がかった特殊効果をまじえてショーアップした古いものと新しいものが同居したお祓いの画が珍しい。
冒頭から随所にはさまれる田舎の描写が、都会化・近代化したように見える日本の裏に貼りついている土着的な面を表わしているあたりは橋本忍・野村芳太郎版の「八つ墓村」をちょっと思わせるキッチェな味がある。
昔の口減らしのための子供の間引きと今の子供のネグレクトがかぶっていて、迫ってくる何者かがそれの象徴らしいのだが、ちょっとわかりにくい。
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