prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」

2018年03月18日 | 映画
実話ネタだと知らないで見て、エンドタイトルで実物のキャラクターが出てくるのにびっくりした。

「あなたが寝てる間に」みたいな設定に人種間問題、子供の進路と親子との葛藤などといったさまざまなテーマが積まれている割りにきれいに収まるバランスのいいシナリオで、さらにスタンダップ・コメディアンたちの舞台裏というあまり馴染みのない世界を垣間見れるというお得な一編。
出来過ぎているくらいで、かえって実話だと思わなかった。ただ丁寧すぎてやや長く感じる気もする。

前は白人女性と有色人種のラブストーリーというだけで大テーマ、大問題になっていたけれど、それがメインとはいえ複数テーマの一つになっているのは時代の変化ですね。

その一方で親の決めた配偶者におとなしく従うパキスタン側の女性を否定的に描いているわけではない(どころか、一種のプライドまで覗かせる)のも、唯一否定的に描かれているのが主人公が一人喋りする舞台にIS呼ばわりするレイシストの客というのも周到。
(☆☆☆★★)

「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」 公式ホームページ

「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」 - 映画.com



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3月17日(土)のつぶやき

2018年03月18日 | Weblog

「わが闇」 ケラリーノ・サンドロビッチ作  俳優座研究生27.28期修了公演

2018年03月17日 | 舞台
ケラリーノ・サンドロヴィッチというと前に映画を撮る時に相当に不快な思いをしたらしくて二度とああいう状態では仕事しない、ということを書いていたと思うが、この劇の中で父親と娘二代にわたる作家の父の方のドキュメンタリー映画を撮るのに、製作委員会が有名人のインタビューを入れろとか監督にあれこれおかしな口を挟んでくるので、ぐちゃぐちゃになってしまうっていうあたりはその反映かと思ったりした。

三人姉妹が主人公になってるチェーホフの「三人姉妹」みたいな話でもあるし、長女が作家で末娘がウディ・アレンの「インテリア」みたいでもある。
ソファーに階段、引き戸程度のシンプルなセットだけども、途中で黒子風に裏方が現れて回り舞台式に装置を動かして変化をつける。

「闇」なんてタイトルについているので、どんなおどろおどろしい話かというと、ソフトバンクの通信網はつながりにくい、なんて小ネタも入れて相当に笑わせる。
ガラケーが劇中で真っ二つにされるけれど、本物だろうか。

研究生とはいっても、でかぶつあり、太目あり、美人あり、コメディリリーフ用ありと多彩。

作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出・指導:眞鍋卓𠻸

俳優座27期 2018修了公演 「わが闇」配役

3月16日(金)のつぶやき その2

2018年03月17日 | Weblog

3月16日(金)のつぶやき その1

2018年03月17日 | Weblog

「グレン・グールド 27歳の記憶」

2018年03月16日 | 映画
このドキュメンタリーの中ではグールドは35歳までに貯金して、後は作曲に専念したいみたいなことを言っているのだが、実際には32歳で演奏会から引退するけれどもスタジオ録音に専念することになる。
どういう心境の変化があったのか知らないが、芸術家が住むにはニューヨークは良いところだよとスタジオの人間に勧められても森の中の一軒家に住むことにこだわるところが記録されている。

リラックスした調子でチッカリングでバッハのパルティータを弾く映像も貴重。あまり人前に出るのが得意ではなかったのか。
デビュー当時の感覚からすると、田舎から出てきた少年みたいだったと自ら語る。

シェーンベルクの弟子相手にその熱情的な面を鮮やかに演奏してみせるあたり、説得力あり。
ハミングというか、唸り声が入らないようにエンジニアが苦労しているというのが可笑しい。今の技術だったら取り除くことも可能だろうけれど、強いて外した版が出るという話も聞かない。

ピアノは古臭い楽器だ、エンジンをつけてどこにでも楽に運べるようにするといいなどという軽口を叩くあたり、後年の厳格な芸術家のイメージとはかなりかけ離れた青年という感じ。

「グレン・グールド 27歳の記憶」 - 映画.com



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グレン・グールド 27歳の記憶 [DVD]
クリエーター情報なし
紀伊國屋書店

3月15日(木)のつぶやき その2

2018年03月16日 | Weblog

3月15日(木)のつぶやき その1

2018年03月16日 | Weblog

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」

2018年03月15日 | アート
まるでおもちゃの箱みたいな家の佇まいや自然光を生かした画作り、雪が降って積もるのを時間をかけて撮っているのが魅力的。
家全体が建っていた場所とノバスコシア美術館の屋内の両方に再現とレプリカが展示されているとのこと。屋内展示できるくらいの大きさなのだな、実際。

自動車は走っているけれど、家の中で電気はまったく使っていない、ただし海岸の道を通るところで電柱や電線は見えるので電気を使っている家はある、といったところから一体いつ頃の話だろうと思った。

後で調べたところではモード・ルイスは1903年生まれ、結婚したのは38年、絵が売れだしてテレビに取り上げられたのが65年(リチャード・ニクソン副大統領が買う、というセリフがあるが、アイゼンハワー大統領の下で副大統領を務めたのは53年から61年にかけて)、亡くなったのは70年。
しかしその間、暮らしぶりがまるで変わらない。シンプルライフそのもので、絵のいい意味での子供っぽさと見合っている。

イーサン・ホークの夫が無骨で乱暴で、しかし愛情はもっているという具合に安直に描かないでほぼ終始ぶすっとした調子で通しているのがいい。
サリー・ホーキンスがリュウマチの症状は少し作りすぎではないかと思ったが、実際の映像ではもっと重症みたい。

モードについては実はまるで知らなかった(日本に紹介されたのは2004年も大橋巨泉が買って)ので、カナダ大使館でモード・ルイス展をやっていたので見に行ったのだが(さすがに大使館だけあって、手荷物検査がありましたぞ)、不思議な気がしたのはモードの作品そのものではなく映画用のプロップが展示されていたこと。
そこにある物に描けるだけのスペースがあれば描いてしまうという感じ。

本来関係ないが、図書室に行くとノーマン・マクラレンの七枚組DVDなんて置いてあるのにひっくり返る。図書室とはいっても貸出はしてくれないだろうし、うーむ。
(☆☆☆★★★)

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」 公式ホームページ

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3月14日(水)のつぶやき その2

2018年03月15日 | Weblog

3月14日(水)のつぶやき その1

2018年03月15日 | Weblog

「新座頭市物語 折れた杖 」

2018年03月14日 | 映画
勝新太郎が監督(というか、製作主演を兼ねたトータルなフィルムメーカー)として本領を発揮したのはテレビ版の「座頭市」からだろうが、劇場版で市を監督したのはこれが最初。

冒頭、市が吊り橋を渡っているところで突然近くにいた老婆がいなくなっていまうのが見えないなりにわかる、というのと似たシーンがテレビ版にあった。
目が見えない主人公が心眼で見ている風景をなんとか捕まえようとする試みみたいなものを何度も繰り返している一つという気がする。

東宝公開ながらスタッフは撮影の森田富士郎はじめ大映のベテラン勢で、重厚な画面作りの一方でまだ「お約束」の部分は勝っているにせよ、勝新の自在な即興演出に対応すべく腐心している感じ。

傷ついた手で仕込み杖をふるうという趣向は「続・荒野の用心棒」からだろう。


3月13日(火)のつぶやき

2018年03月14日 | Weblog

「15時17分、パリ行き」

2018年03月13日 | 映画
事件の当事者が自分の役を演じる、というほとんど実験作というべき一作だけれど、まったくの素人だというのに演技がすごく自然(西洋人って何で普段は大仰なジェスチュアするのに芝居になると抑制できるのか)なのはいいのだけれど、かえって普通の劇映画に近くなって実験性が目立たなくなっている感じ。
これで事前情報がまったく入っていなかったら、まずわからないと思う。

昔だったらセミ・ドキュメンタリー調で撮るのに白黒画面で手持ちで撮ったりしてラフな調子がリアリティを演出したりしたわけだけれど、最近のデジタルカメラではまるで破綻なく撮れてしまうのは良し悪し。

事件そのものとそれまでのエピソードって、直接の結びつきはまったくないわけで、柔術の心得があったのや応急手当を知っていたのがテロリストを取り押さえるのや負傷者の手当に役立った、というのはドラマの組み立てとまでいかない。ムリにドラマ仕立てにしないのはいいにせよ、天の配剤といったものを感じさせるまではいかず、かなり緩い。

実話ものにたいていある、エンドタイトルで本物の人物を紹介する映像で当然ながら映画に出ていた当人が写っているのが不思議な感じ。
(☆☆☆)

「15時17分、パリ行き」 公式ホームページ

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3月12日(月)のつぶやき

2018年03月13日 | Weblog