文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

貨幣供給よりは貨幣需要の創出策が必要

2009-12-03 19:44:44 | 経済学
 日銀は昨日5兆9000億円、今日も5兆3600億円と、短期金融市場に大量の通貨供給を行った。やや長めの期間の金利低下を促して景気を下支えする方針のようだが、どの程度の効果があるかは疑問である。

 今は金利はほぼ極限まで低下しており、「流動性の罠」とも言える状態になっているのではないか。このような中で、いくら金融市場に通貨を供給しても、実態経済は動かず、行き場を失った通貨は投機に回ってしまいかねない。

 経済学には、「セイの法則」というのがある。「供給はそれ自体の需要を創造する」というものだ。しかし、これが変だというのは素人でも分かるだろう。いくら供給しても需要が無ければ無駄である。おなかいっぱいになっているのに、どんどん料理を出されても食べられないのと同じことだ。有効需要の原理により、このセイの法則を否定したのがケインズであった。

 本日財務省が発表した7~9月法人企業統計によれば、設備投資額は前年同期より24.8%減であり、四半期ベースで10期連続であり、減少率は過去最悪だそうだ。実体経済がこれでは、いくら通貨の供給をしても行き場が無い。

 マーケティングの考え方に、プッシュ戦略とプル戦略というものがある。金融緩和は例えて言えばプッシュ戦略に当たるであろう。金融システムの重要さを否定するつもりは無いし、あえて通貨供給によりプッシュすることが必要である場合もあるだろう。しかし、金融だけで経済の回復はできない。今本当に必要なのはプル戦略の方なのだ。将来性のある分野で実体経済の方を刺激して、貨幣需要を創出する方策が何よりも必要なのである。


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コメント (3)
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