文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

地球温暖化問題対応のための三つのレイヤー

2009-12-06 21:14:09 | オピニオン
 鳩山首相が国連で温室効果ガス「25%削減」を宣言したことから、我が国においても地球温暖化問題に関する議論が加速しているように思う。

 私は、この問題に対応するには、三つのレイヤー(層)という区分が重要ではないかと思う。それらについて少し述べて見よう。

①科学のレイヤー
 このレイヤーの役割は、地球温暖化の影響について、なるべく正確に予想することだ。前提条件を明らかにして、こういった場合はこのようになると言うシナリオを作成するのであるが、不確定要素も多いため、前提条件をはっきりさせたうえで、幅を持ったシナリオを示すことが重要であろう。私など、太陽の活動や、地球の熱塩循環なども考慮したシミュレーションがどこまでできるのかは疑問なのだが、シミュレーションの限界も明らかにしたうえで、どこまでが確からしいのかを示す必要がある。

②技術と経済のレイヤー
 このレイヤーの役割は、科学のレイヤーで与えられたシナリオに対して、技術的にどのような対策が可能かということや、その対策をとった場合ととらなかった場合には、経済的にどのような影響があるのかなどを明らかにすることだ。地球温暖化問題は一義的には、科学の問題である。そこを忘れて、このレイヤーだけで議論するようなことをしてはいけない。大切なのは、色々なオプションを用意することである。

③政治のレイヤー
 そして、最終的にどんなシナリオを選ぶかは政治判断である。ここが一番責任が重いが、上の2つのレイヤーを十分理解したうえで判断を下す必要があるのは言うまでもない。

 それぞれのレイヤーで大切な事は、互いに独立性を確保することだと思う。他のレイヤーのイデオロギーや価値判断に引きずられずに、あくまで、専門的な知見で対処するべきだ。そのうえで、次に来るレイヤーでは、前のレイヤーの議論を十分に理解しておく必要があるし、前のレイヤーは次のレイヤーに、説明する努力を惜しんではいけない。

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