食べてのほほん: 食のことばで四季めぐり | |
クリエーター情報なし | |
明治書院 |
春夏秋冬と、四季折々の食材を描いた歳時記、「食べてのほほん」(村山尚子:明治書院)。
本書は、日本農業新聞に掲載したものをベースに加筆したものだそうだ。紹介されている各食材について、それぞれ見開き2ページで解説するというのが基本構成となっている。面白いのは、タイトルが、その食材に関係のあることわざや慣用句になっているところだ。そして、その言葉に関する解説や食材に関する蘊蓄を織り込んだエッセイが本文として続く。このエッセイがなんとも楽しいのである。おまけに、各食材毎に描かれているイラストも、ほのぼのとした感じで、タイトルの「のほほん」という響きに良く合っており、イラストだけ眺めていても、なんだか楽しくなってくる。
取り上げられている食材は、諺や慣用表現に使われるくらいだから、特に変わったものはない。どれもおなじみのものである。必ずしもその季節でなければ、食べられないというわけでもない。しかし、食べるならやっぱりこの季節が一番と言ってもよいものばかりだろう。
それにしても、食材に関する言い回しにも案外と知らない言葉があるものである。本書は、楽しみながら、そのような諺や慣用表現に詳しくなるだけでなく、その食材に関する豆知識もつくという優れものだ。今は、食材にも、昔ほどの季節感がなくなってきているが、本書を参考に、四季折々の旬の味を楽しみたいものである。
☆☆☆☆☆
※本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。