文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:47原則 世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?

2016-07-16 08:55:46 | 書評:ビジネス
47原則―――世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社

・服部周作

 著者は、常々会議の要点、講演で聞いたフレーズ、思いついたアイデアなどをメモし、別の手帳に整理して「ルールブック」として纏めているという。本書は、このルールブックに書きとどめて、著者自身が実践し効果が上がっている事項に加え、社内外のリーダーが守っている手法を聞き出し、「47原則」にまとめたものだ。「50原則」といったきりの良い数字にしなかったのはなぜかと思わないでもないが、赤穂浪士の数と同じにすることは、何か狙いがありそうな気もする。たぶん偶然だろうと思うが。

 それはさておき、どのような原則が述べられているか読んでみると、のっけからずっこけた。この手の本にはよくあるのだが、第一原則が、頭を使う仕事は早朝に片付けろというものだったからだ。早起きが苦手で、朝はろくに頭が回らない私には、とても承服できることではない。しかし、頭が一番働く時間に頭を使う仕事をやれというのは、まあその通りだろうと思う。朝が得意な人は早朝でいいが、そうでない人は、自分なりのそういった最適な時間を見つけることが大切だろう。

 47原則のうち特に賛同したいものをいくつか挙げてみよう。ひとつめは、最初は簡単に達成できるような低いゴールを設定し、徐々に目標を上げて、スモールステップでの成功体験を着実に積み上げていくこと。いきなり高い目標を掲げてもうまくいかないものだ。例えば柔道でも、いきなり十段を目指す人はいない。初段、二段と積み重ねていくことが大事なのだ。

 つぎにアウトプットをイメージして仕事をするということ。何をやればいいか見当がつくので、やみくもに無駄なことをして時間を浪費するようなことが少なくなるだろう。

 そして、仕事の目的を明らかにし、そのインパクトを見積り、それらが妥当であった時のみ、次のステップに移ってどうやって実行するかを検討すること。大したインパクトのないことを、大手間をかけてやっても意味はないのだ。

 目標は野心的に、行動は計画的にというのも何かを成し遂げるためには大切だろう。目標が大したことがなけれは、成果は期待できないし、計画的にやらないと、ゴールに到達するのは難しいのだから。

 メンバーはリソースではなく頼りになる個人と考えるというところなどは、人を人役で見るしか能のない人事の連中に読ませたいものだ。

 ただ目標にしたいロールモデルを探すということで、スキル別に十数人見つけろとあったが、会社によっては難しいだろう。現に以前私がいた会社なども・・(以下略)

 初めから本書に述べられている47原則全部を取り入れようとするのは無理があるだろう。どうしても納得のいかない事項もあるだろし、置かれている立場や環境によりできないこともあると思う。だから、まずはスモールステップで取り入れやすそうなものを意識してみるのがいいだろう。例えば「To-Doリストを4つに分類する」ことなどは、やろうと思えばすぐにできることだ。

 そして、ある程度実効があがれば、次のステップに進むのだ。47の原則に、すぐ取り組むもの、次のステップで取り組むもの、自分には合わないものといったようなランク分けをしておくと良いかもしれない。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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