![]() | 忘却のレーテ (新潮文庫nex) |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
・法条遥
両親を交通事故で亡くした女子大生・笹木唯は、父が重役をしていた製薬会社オリンポスで記憶薬「レーテ」の被験者となる。父が横領をしており、実験に参加すれば、賠償額を半分にするというのだ。
7日間の間、他の5人の被験者と共に、夜になれば「レーテ」により、1日の記憶をリセットされる。この作品は、その7日間の毎日の出来事を描いたものだ。
読者は読んでいるうちに違和感を感じることになるだろう。例えば、死んだはずの人間が、また登場してきたり、唯は、被験者になるための面接で落ちたはずなのに、実験に参加していたりといったところだ。この他にも本書の中には、辻褄の合わないところが、いろいろとでてくるのだ。
実は、これが驚くような結末に繋がっていくである。最後には、一気にそれまでの謎が解き明かされていくのだ。きっとあまりにも意外な内容は、読者の想像の域を超えているのではないかと思う。
果たして、「レーテ」の開発者の小野寺エリスの狂気に、同情するようになるのか、それとも恐怖を抱くのか。さてあなたはどちらだろう。
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※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。