文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:忘却のレーテ

2016-07-30 20:33:52 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
忘却のレーテ (新潮文庫nex)
クリエーター情報なし
新潮社

・法条遥

 両親を交通事故で亡くした女子大生・笹木唯は、父が重役をしていた製薬会社オリンポスで記憶薬「レーテ」の被験者となる。父が横領をしており、実験に参加すれば、賠償額を半分にするというのだ。

 7日間の間、他の5人の被験者と共に、夜になれば「レーテ」により、1日の記憶をリセットされる。この作品は、その7日間の毎日の出来事を描いたものだ。

 読者は読んでいるうちに違和感を感じることになるだろう。例えば、死んだはずの人間が、また登場してきたり、唯は、被験者になるための面接で落ちたはずなのに、実験に参加していたりといったところだ。この他にも本書の中には、辻褄の合わないところが、いろいろとでてくるのだ。

 実は、これが驚くような結末に繋がっていくである。最後には、一気にそれまでの謎が解き明かされていくのだ。きっとあまりにも意外な内容は、読者の想像の域を超えているのではないかと思う。

 果たして、「レーテ」の開発者の小野寺エリスの狂気に、同情するようになるのか、それとも恐怖を抱くのか。さてあなたはどちらだろう。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。



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