![]() | 日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
・布施祐仁、三浦英之
最近は、イラクへの自衛隊派遣時の日報が存在しないとかやっぱりあったとかが話題になっているが、本書は、南スーダンへのPKO派遣時の、日報隠蔽事件を扱ったノンフィクションである。二人の共著で、「はじめに」と奇数章を布施氏が、偶数章と「おわりに」を三浦氏が執筆している。
書かれているのは、防衛大臣が稲田氏の時代のことである。南スーダンの日報を巡るやり取りはテレビなどでも報道されたので、部分的には覚えている人も多いだろう。本書は、それらを一つの本として取り纏めただけでなく、日本では分かり難い、南スーダンの様子についても記載されている。
本書から読み取れるのは、言葉遊びに終始する政府と、言葉狩りをしたがる野党の対立の様子というところだろうか。起ったことを「戦闘」だとか、いやあれは「衝突」だといくら言葉遊びをしても、実際に起こっていることは変わらない。
なんなら、大臣や自衛隊幹部もずっととは言わないが、これからは、数か月くらいは現地に行ってみたらどうだろうか。机上で言葉をもてあそぶよりは、その方が三現主義で今何が起きているのかを実感できるだろう。
ところで、防衛相というのは、有事の際の国防の要である。軍事に関する専門知識はもちろん、強力なリーダーシップと適切な判断力が求められる。報道された当事のあの右往左往ぶりを見ると、稲田氏には、とても適正があるとは思えなかった。
ただ、本書の書きぶりにも、少し違和感を感じる。例えば、「自衛隊宿営地のすぐ隣にあるビルで二日間にわたり政府軍とマシャール派の間での銃撃戦があったというのだ。」(p17)このすぐ隣というのはどのくらいだろうか。普通の感覚では数mくらいと思うのだが、同じページに距離が約100mと書かれていた。普通は、100mをすぐ隣と表現するだろうか。まあ、この距離だと流れ弾が飛んではくるだろうが、果たして「自衛隊宿営地の上空を銃弾が飛び交い」(p39)ということになるのだろうか。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。