人間の思考とは、そもそもがニュートラルなものではない。様々な認知バイアス(cognitive bias)がかかっているのだ。自分では偏りなく考えているつもりであっても、その思考はこれまで見聞きしたことによって形作られた考え方のベースによって影響を受けている。
本書で紹介されている認知バイアスとは、
偏見や先入観、固執断定や歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解などを幅広く指す言葉(p3)
である、
ただ認知バイアスは必ずしも悪い事だけではない。ヒューリスティックと言う言葉がある。論理でなく経験や・直感を優先して答えを発見するというものだ。要するに思考のショートカットであり、必ずしも最適の答えが得られる訳ではないが、そこそこの役に立つ答えが得られる場合も多い。答えに達するまでの時間が短いので、短時間に、何かを決めなくてはならないときに役立つと思われる。
本書は、これら様々な認知バイアスを「論理学的アプローチ」、「認知科学的アプローチ」、「社会心理学的アプローチ」の3つの観点から分類し、整理している。若干、これも認知バイアスなのかと思うようなものもあるが、本書を一読しておけば、自分の考え方の癖が分かるようになるだろうし、何かを決める際に、本当に考え方に偏りはないかとチェックする一助にもなるだろう。
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