文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

半七捕物帳 15 鷹のゆくえ

2021-06-29 21:14:22 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 先般伝七捕物帳のレビューを書いたが、アマゾンの青空文庫にはあれ1話しか見当たらなかったので。またまた、半七捕物帳に帰ってきた。半七捕物帳は明治になってから、半七老人が思い出話を語るという形式となっており、この話も例外ではない。また、最初はスリラー仕立てになっている場合が多いが、この話に限ってはそんなものは見られない。

 ここで扱われる事件は、鷹匠が鷹を逃がしたというもの。鷹は庶民が飼うことはできず、鷹は将軍家のものだ。そしてそれを預かっているのが鷹匠である。身分は決して高くなかったが、将軍家の鷹を預かっているので威張り散らし、民衆からは嫌われていた。その鷹匠のひとり、三井金之助が、お鷹馴らしに野外に出て品川の丸屋という遊女屋へ泊った時の事。金之助を接待したお八重という抱妓は、金之助の人柄が案外良かったことからすっかり仲良くなり、朝方いちゃいちゃしていた。それに驚いた鷹が逃げ出したという訳である。

 事件が公になれば、当事者は切腹。死罪となるものも出る。なんとか、事を穏便に収めようとする半七親分も珍しい。この話では、殺人事件のようなものは起こらない。半七捕物帳の他の話を考えると異色と言っていいかもしれない。最後は、半七親分の気風の良さが出ているかな。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
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