文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

其中日記 03 (三)

2021-06-26 13:29:52 | 書評:その他

 

 タイトルの其中とは、山頭火が昭和7年から昭和13年にかけて彼が住んでいた小郡(現在の山口市小郡)の其中庵のことだ。其中日記は、彼が其中庵で過ごした記録である。この03は、昭和8年3月20日から7月10日までの出来事を記したものである。

 山頭火は山口県佐波郡西佐波令村(現在の山口県防府市)の裕福な家に生まれた。しかし、家は破算、母と弟は自殺。自らは結婚して1子を設けるも生活能力は皆無。結局は妻子を捨てて放浪することになる。この其中庵時代に自殺未遂を起こしたものの、山口市湯田温泉に移るまで、彼は長い間ここで暮らすこととなる。

 もとより、日々の日記であるから、大きな事件が起きる訳もなく、描かれているのは山頭火の日常と彼の作った自由律俳句。読んでいると、酒を飲んでいる場面が多く見受けられる。特に樹明という友人と行動していることが多い。次は啓治という人だろうか。一見、貧乏ながら気楽にやっているように見えるが、もうひとつ「さびしい」と言う言葉がそこかしこに見られることに気づく。そんな寂寥感もこの日記のなかに感じられるのである。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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