文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

ふたりの距離の概算

2022-05-12 08:25:52 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 高校までは、学校でマラソン大会があった人も多いだろう。私の場合もあった。さすがに大学ではそんなものはなかったが。走るのが好きで、歳をとっても走っている人もいるが、私のように走るのが好きでははない人間にとっては、ほんと迷惑この上ない催しものだった。

 さて本書であるが、古典部シリーズの5作目にあたる。もちろん主人公は、折木奉太郎をはじめとする古典部の面々。彼らが通う神山高校は文科系部活が盛んなことで知られるが、この迷惑なマラソン大会があった。正式には「星ヶ谷杯」というらしいが、その名で呼ぶ人はほとんどおらず、単に「マラソン大会」と呼ばれることが多い。ちなみに、20キロを走るので、正規のマラソンの約半分を走ることになる。

 今回のテーマは、古典部に仮入部していた大日向友子という侵入生が、本入部しないといった理由を推理するということ。それも奉太郎がマラソン大会で走っている最中に考えるのである。

 大日向はその際、部長の千反田えるのことを、「千反田先輩は菩薩みたいに見えますよね」と言った。「外面似菩薩内心如夜叉」という言葉がある。要するに菩薩のように見えるということは、心は夜叉のように恐ろしいということだ。なぜ大日向はそんなことを言って本入部しなかったのか。

 一応は謎解きを主体にしたミステリーに分類されるのだろうが、別に殺人事件のような大きな事件が起きる訳ではない。どちらかというと古典部員たちの高校生活を描いた青春小説としての色彩が強いだろう。しかし20キロも走るとなると、ため息が出るなあ。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする