本書も放送大学のテキストとして使われたものだ。残念なことに20年も前の課目なので、現在は閉講になっているが、古書店などに行けば手に入る可能性はある。また大きな図書館にはおいてあるかもしれない。
私たちの住む地球には多くの流れがある。風などの大気の流れ、河川や海流などの水の流れなど。私達の目には触れない地下深くにだって、マントルが流れているのだ。氷河のような固体だって、長い目で見れば流れている。。アフリカで発生した人類が世界中に分布を広げたのだって一種の流れだ。ただ人類全部を扱うと恐らく膨大な量になるからだろうか、本書では日本人のルーツとなる先史モンゴロイドの移住・拡散に焦点を置いて記述している。ちなみに、日本人のルーツには諸説あるが、遺伝子解析によれば、シベリアのどこからしい。
本書の内容を一言で言えば、地球はいろいろなもので構成されているが、それらを共通の「流れる」という視点から見るということだろう。
ある現象について何かを考えるときに、その現象特有の事象に焦点を当てるという視点もあるだろうが、本書のように、共通なものはなにかという視点もあると思う。ある分野では当たり前だったことが、別の分野では画期的だということがある。そういう意味で本書はいろいろと得るものが多いのではないかと思う。
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