太田川というのは広島市などを流れている母なる川だ。中国山地を源流として、広島湾に続いている。広島市内でいくつもの流れに分岐し、それぞれ名前がついている。本書は、広島市を中心にこの太田川流域を美しい写真で紹介するというものである。中国新聞とは広島市に本社を置く、中国地方のブロック紙だ。そのせいか、本書は2022年度の新聞協会賞を受賞している。
本書を読んでまず思ったのは、太田川にも色々顔があるんだなあということ。源流は中国山地にあるので、太田川は、広島市だけを流れている訳ではなく、季節だけでなく場所にもよって風景が変わるのである。季節を合わせて、本書に掲載されている場所を訪れてみるのもいいと思う。
ひとつ勉強になったのはアマゴのこと。同じ種類だが、一生を渓流魚として過ごすのがアマゴ、海に下る降海型の者をサツキマスというのだと思っていたが、実は海の代わりに湖に下る降湖型のサツキマスというのもいるらしい。例えばダム湖などでは、そこから容易に海に出られない。だから湖を終着点にするようになったのだろう。考えてみると生命の不思議さを感じる。
☆☆☆☆